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ありがとう、クロヅルの「イチコ」
 └─2015/05/01

 クロヅルはユーラシア大陸北部で繁殖し、中国北部・インド・北アフリカなどで越冬する渡り鳥です。日本では鹿児島県出水地方が飛来地として知られており、毎年少数がやって来て、マナヅルなどの群れに入って越冬します。


クロヅルの「イチコ」

 井の頭自然文化園のクロヅルの「イチコ」は1959年にオスの「キュー」とともに来園しました。「キュー」と「イチコ」という名前は、かつての敬老の日9月15日にちなんで名付けられました。1969年には国内動物園のクロヅルとして初めて繁殖し、16年間に9羽のヒナを育てました。

 イチコはツル用のペレット(固形飼料)を食べて生活していました。魚も食べていたのですが、年齢のためかいくら食べてもやせていくことがあり、ペレットのみの給餌に切り替えることで体型を戻すことができました。

 曲がったくちばしの影響なのか、えさが食べにくくなってしまい、ときには座り込んでしまうこともありました。そこでくちばしを整える治療をおこなうと、しっかり食べられるようになり、また元気に歩く姿が見られるようになりました。

 今年(2015年)の4月8日、季節はずれの雪がちらついた日も、係員が部屋の掃除を終えると、イチコは新しいえさが来たことを確認し、コツコツとえさ箱を突いていました。しかし、翌日の4月9日朝、死亡している姿が発見されました。

 野生のツルのなかまの平均寿命が30年程といわれる中、イチコはじつに56年ものあいだ、来園者のみなさんの前にその元気な姿を見せ続けてくれました。長い間どうもありがとう。おつかれさま、イチコ。

〔井の頭自然文化園 水生物館飼育展示係 野本寛二〕

(2015年05月01日)


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