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「あおちゃんズ」デビューしました
 └─2011/11/18

 武蔵野の雑木林の中にある井の頭自然文化園には、多くの野生のアオダイショウが生息しています。人家の屋根裏に住みついてネズミを捕食するなど、昔から人間のくらしに関わってきた「静かなる隣人」といった身近な生きものです。しかし小鳥を飼育する者にとっては、ちょっとした隙間から侵入し、大事な飼い鳥や卵を食べてしまう困り者の一面もあります。

 そのアオダイショウの、しかも2メートル近い大物が2011年4月末に園内で捕獲されました。前記の理由で無罪放免する訳にもいかず、さりとて処分してしまうには忍びないので、正門にほど近い空き展示ケースで展示することとしました。当初はケージに閉じ込められた不安からか、アクリル越しに咬みつこうとするほど攻撃的でしたが、次第に環境にも慣れ、餌も食べるようになりました。

 その2か月後に、今度は1.2メートルほどの小柄な個体が捕獲されました。同じケースに収容したところ、その日のうちに交尾が見られ、図らずもオスメスが判別されました。そして1か月後の7月27日朝、大きい方の個体が産卵したのです。アオダイショウの卵はひと塊の卵塊の状態で産み落とされ、数えると17個もありました。暑い盛りにこのまま狭いケージに入れてはおけないので、回収して事務所で湿度に注意しながら孵化を待つことにしました。

 約2か月後の9月23日から25日にかけて、17卵すべてからかわいいアオダイショウの赤ちゃん(といっても30センチ以上あるのですが)が誕生しました。親とはまったく違うまだら模様の子ヘビたちは、孵化後1週間ほどで最初の脱皮も無事すませ、餌も食べるようになりました。

 現在資料館の特設展「小さなふしぎ 大きな発見──いきものは遊びともだち」に展示中です。体はまだ小さいのですが、17頭のヘビがひと塊になってうごめく様は、まるでギリシャ神話のメデューサのようでなかなか迫力があります。2011年12月28日までごらんになれますので、どうぞかわいい「アオちゃんズ」に会いにきてください。

写真上:展示中のアオダイショウ
写真下:ひと塊になった子ヘビ

〔井の頭自然文化園飼育展示係 山本藤生〕

(2011年11月18日)



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