葛西臨海水族園の「南シナ海」の水槽では、タマカイという魚を展示しています。タマカイは、ハタ科の中でも大型のなかまで、成長するとと体長2メートルを超える巨体になります。
水族園のタマカイの体長は 1.5メートルほどですが、それでも水槽の中ではいちばんの存在感を誇り、「南シナ海」水槽の主役です。
このタマカイは当初よりずっと1尾だけで展示してきたのですが、約2か月前、同じくらいの大きさのタマカイを追加し、今は2尾を展示しています。
タマカイは海では岩礁に隠れ、単独で生活します。そしてなわばりをつくり、同じなかまが近くに来ると、全力で追い払います。海にくらべて狭い水槽内では、なわばりをもつ魚を複数入れると争いがおこり、負けたほうが死ぬことさえあります。同種の魚をいっしょに飼う場合、「相性」がとても重要になる種類はかなりあり、タマカイもそういう魚のひとつです。
「南シナ海」水槽にタマカイを追加したときも、争いが起きるのではないかと、ひやひやしていました。2尾をいっしょにしたとき、前からいたタマカイは口を大きく広げ、激しい威嚇を始めましたが、しばらくすると新参者をじっと観察し始めました。
新参者のタマカイの体には、興奮のせいで白い斑点がはっきりとあらわれています。しかも、少しおびえたようすで、水槽をぐるぐる泳ぎまわっていました。しかし、おたがいに相性がよかったのか、その後はさほど大きなケンカはせず、共存してくれています。
「南シナ海」水槽は、大きなタマカイが2尾入ったことで、以前よりかなりにぎやかになった感じがします。タマカイは水槽の前の方に来ることが多いので、その巨体を間近で見ることができるでしょう。数が増えてさらに観察しやすくなった南の海の巨大魚タマカイを、ぜひ一度ごらんください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 木船崇司〕
(2008年08月22日)
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