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深海魚?マンボウの展示
 └─葛西  2008/03/28

 葛西臨海水族園の「深海の生物」のコーナーでマンボウの展示を始めました。とてもユニークで愛嬌のある体型から、水族館ではとても人気のある魚です。

 泳いでいるマンボウをよく見ると、とてもふしぎなかたちをしています。円形の体の上下に突き出ている大きなひれは、上が背びれで下が尻びれです。そして、そしてまるで半分になってしまったように見える体のいちばん後ろには、「舵(かじ)びれ」と呼ばれるひれがあります。これは背びれと尻びれがくっついて変化したものです。

 深海のコーナーにマンボウを展示したということは、マンボウは深海魚なの?と疑問に思った方も多いのではないでしょうか。マンボウは、広く全世界の熱帯から温帯までの海の表面付近でくらしていると考えられてきましたが、最近の研究によれば、水面から深海 800メートルまでを行き来していることがわかってきました。

 なぜマンボウは深海にいくのでしょう。マンボウの胃の中を調べると、深海のエビやイカなどが入っていることがあます。フワフワと海面を漂っているだけではなく、じつは餌を採るために想像以上にダイナミックな移動を繰り返しているようです。マンボウを深海魚と決めつけることはできませんが、深海でも活動しているのです。

 一方、マンボウは春から初夏かけて日本の近海で多数漁獲されます。あまり一般的ではありませんが、日本人は食用としてもマンボウを利用してきました。広い大洋を泳いでいるマンボウがなぜ、この時期に日本の沿岸で数多く確認されるのかは、よくわかっていません。

 展示しているマンボウは大きさ80センチ前後の大小2尾で、まだあまり落ち着いていませんが、日がたつにつれて、まわりをキョロキョロと意識するようになりました。そして、エビなどの餌も食べ始めています。ぜひこの機会に、まだまだ謎につつまれたふしぎな魚マンボウを、葛西臨海水族園の深海のコーナーでごらんください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 中村浩司〕

(2008年03月28日)



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