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どっちがどっち? ノコギリハギとシマキンチャクフグ
 └─葛西  2008/01/25

 葛西臨海水族園「世界の海」エリアの「グレートバリアリーフ」水槽に、ノコギリハギを展示しました。この魚は、平べったいラグビーボールのような体に、白地に黒色や黄色の模様が入ったきれいなすがたをしています。背中とお腹に大きくて透明なヒレがあり、これを一生懸命動かして水槽中を泳ぎ回っているすがたがよく見られます。

 ですが、この魚を探すときは注意してください。この水槽には、ノコギリハギとそっくりなシマキンチャクフグという魚が同居しており、見まちがうかもしれません。ちょっと見ただけでは、僕たち飼育係も間違えることがあるくらいです(写真)。

 どうしてこんなに似ているのでしょう。シマキンチャクフグはフグのなかまだけあって毒をもっており、そのおかげで敵に襲われることが少ないと考えられています。一方、ノコギリハギに毒はなく、毒のあるシマキンチャクフグのすがたをまねて、身を守っているのです。代表的な擬態のひとつです。

 この擬態はとてもすばらしく、模様や体型だけで2種類を見わけることは、なかなかできません。飼育係がおこなっている、いちばん簡単な見分け方は、ヒレを見ることです。ノコギリハギは、背中とお腹のうしろに体の半分を覆う大きなヒレがありますが、シマキンチャクフグのヒレは、ノコギリハギにくらべるとずっと小さいのです。海の中では、簡単に見分けることはできないでしょうから、ノコギリハギを襲う敵もきっと少ないのでしょう。

 それにしても、生物の進化の中で、ここまでそっくりになるとは驚きですね。

写真上:ノコギリハギ
写真下:シマキンチャクフグ

〔葛西臨海水族園飼育展示係 木船崇司〕



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