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深海魚バラムツの展示
 └─葛西  2007/12/28

 葛西臨海水族園では2007年12月20日から、「深海の生物」コーナーの水槽でバラムツの展示を始めました。バラムツは、クロタチカマス科の魚で、ふつう水深100~800メートルの深海に生息しており、全長は最大3メートルに達します。釣りで漁獲されることもあり、一般の釣り人にも知られている魚です。

 この魚の特徴は、浮力をコントロールするために、浮き袋ではなく、筋肉中に浮力のあるワックス成分(脂)を含んでいることです。この成分は、人には分解することができないため、食べると下痢をしてしまいます。そのため、この魚は食品衛生法によって食用のための流通が禁止されており、一般の方にはなじみのない魚です。ちなみに英語でも、その特徴から「オイルフィッシュ」oilfishと呼ばれています。

 水族園ではこれまで何度か展示を試みてきましたが、いい状態で採集・輸送されることが少なく、ほとんどの個体が数日で死んでしまいました。しかし今回は水深約80メートルという大変浅いところで採集された個体であり、また、輸送や飼育条件を改善した結果、とてもよい状態で展示が可能になりました。

 展示しているバラムツは、体長1メートルほどで、同じ水槽で展示しているムツを細くしたような体型をしています。水槽の中央付近をゆっくりと円を描きながら泳いでおり、壁や底面を認識し、落ち着いているようです。

 しかし、深海の生物全般に言えることですが、とても飼育のむずかしい生物ですので、できるかぎり長期間展示して、飼育方法や生態に関する知見を増やしていきたいと思っています。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 中村浩司〕

(2007年12月28日)



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