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冬の熱帯鳥温室の見どころ
 └─井の頭 2007/12/28

 いよいよ寒さも本番。木々も葉を落とし、屋外施設である動物園は来園者も少なくなり、ちょっと寂しい季節になってきます。

 そんな井の頭自然文化園の中で、冬でも雨でも関係なく、暖房の効いた数少ない施設が熱帯鳥温室です。施設内は20℃前後に保たれ、ビロウやガジュマルといった南国の植物が茂り、鳥たちも元気に飛び回っています。

 この冬の見どころをご紹介しましょう。まずは入ってすぐのサボテン室です。今まで展示していたオニオオハシ、シロムネオオハシの隣に、カンムリコサイチョウを展示しました。どちらも大きなクチバシが特徴の鳥ですが、じつは、すんでいるところもちがい、分類的にも近いわけではありません。

 オオハシはキツツキ目に分類され、中南米に分布しますが、サイチョウはブッポウソウ目(カワセミなどもこのなかまです)に分類され、東南アジア、アフリカに分布しています。共通する大きなくちばしは、木の茂ったジャングルの中で、熟した木の実を採るのに便利だという説があります。

 本当ならば、広い大温室で展示したいのですが、どちらも小鳥を捕食した前科があります。そんなわけで少し狭いところにいますが、そのぶん近くでじっくり観察できます。奥の部屋には、身体の大きなシロクロサイチョウもいますので、ぜひくらべてみてください。

 また、大温室にはカンムリシャコを3羽入れました。緑色でウズラ大の小さな鳥ですが、ようやく環境にもなれてきて、そろってピョココピョコ歩いているすがたが見られます。流れの近くや餌場近くの茂みの縁などを見てください。

 さらには、カンムリエボシドリのひなも育っています。年末には巣立つ予定ですので、年明け早々には、かわいらしくも不恰好な(?)ひなのすがたが見られるでしょう。かれらは高木や高い場所にいることが多いので、見上げて探してください。

 温室は広くて高く、木が茂っているので、なかなかお目あての鳥が見つからないかもしれません。しかし、暖かいところですから、のんびりと植物のスケッチや花の写真撮影をするにはもってこいの場所です。その上、バードウォッチングの練習もできますから、井の頭池でカモを見て、弁天様で初詣をしたあとには、冷えた身体を暖めにぜひお立ち寄りください!

写真上:オニオオハシ
写真下:カンムリコサイチョウ

〔井の頭自然文化園飼育展示係 木崎恒男〕

(2007年12月28日)



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