多摩動物公園昆虫生態園の夜行性昆虫コーナーで、2007年11月2日からヒカリコメツキを展示しています。南米に生息するこの甲虫は、ペルーから送られてきました。
成虫はおもに乾季に発生するといわれています。樹液や熟した果実などを食べますが、驚くべきことに、種類によってはシロアリの巣の近くに住み、羽化したシロアリを食べるともいわれています。
ヒカリコメツキ類は14種ほどが知られていますが、当園で展示しているのは Pyrophorus noctilucus で、体長はオス約30ミリ、メス約35ミリ、体色は一般的なコメツキムシと同様、黒っぽい色をしています。
最大の特徴は、胸部に二つある丸くて白っぽい斑紋です。手で触って驚かせると、明るい場所であっても斑紋が薄緑色に光ります。しかし、この斑紋は、死亡後に黒く変化し、「地」の色にまぎれて見えなくなってしまいます。
展示場所は昼夜が逆になっていて、開園時には真っ暗なので、恐がる子どもたちがいるのが残念です。ヒカリコメツキの名前も表示してあるのですが、暗い中で光を見た来園者の中から「ホタルがいるよ!」という声も聞こえます。ヒカリコメツキという名前が書いてあるのを見て、驚かれている方も見かけます。
発光するのは胸部の2か所だけでなく、腹部にも1か所、オレンジ色っぽい光が見られることがあります。腹部の光とちがって、明るいところではまったく発光しません。文献によれば、この第3の光の部位は、腹部の前の方のはずなのですが、暗い中で観察するかぎり、腹端近くのようです。今度、確認してみたいと思います。
展示しているヒカリコメツキは約70匹。朝の9時半になると蛍光灯が消え、発光が始まります。いっせいに光り始めるのでよく見えるのですが、午後になると光っている個体が減ることもあります。ぜひ、午前中におこしください。
〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 三枝博幸〕
(2007年11月16日)
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