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ゴリラとヘビが逃げた! 訓練無事終了──上野 2006/02/21
 2006年2月21日、「猛獣脱出対策訓練」、略称「猛対」を実施しました。来園者のみなさん、上野警察署、上野消防署、日本医科大学付属病院のご協力もいただき、無事終了。

 13時30分、地震でゴリラ放飼場の木が倒れ、それを伝ってゴリラのオス1頭が脱出します。まず、ゴリラ放飼場近くに、着ぐるみのゴリラが登場。以前からあった着ぐるみですが、顔の表情を少し変えました。園長はただちに非常配備体制を指令! 対策本部設置。捕獲作戦にうつります。

 ヘンな生きものに、ゴリラ舎そばのシロテテナガザル2頭は特徴のある大きな声を発していました。

 無線で誘導されながら、東園を歩き続けるゴリラ。その間、表門の近くでは、別の脱出動物による被害が! 毒ヘビ1匹が逃げ出し、驚いた来園者が心臓マヒに! 今回の訓練は、複数の動物脱出を想定した「高度な」訓練なのであります。ヘビにはぬいぐるみを使用。心臓マヒを起こした来園者(人形です)にはAED機器(自動体外式除細動器)で電気ショックを与え、救急対応をおこないます。

 園内を歩き回るゴリラを、動物園職員はネットでとりかこみ、また、近づいてくるゴリラに対して、木の棒を地面に打ちつけ、音で威嚇。ゴリラは表門前に向かいます。

 来園者の避難誘導をおこなうと同時に、ヘビの捕獲に成功。負傷者の救出にもあたります。そして、ゴリラを表門花壇付近に追いつめ、麻酔銃発射! 倒れたゴリラを棒でつついて反応を確認してから、ネットで包み、トラック荷台に運びあげ、無事捕獲完了。

 おびえる幼稚園児もいましたが、端から見ているギャラリーの方々は、興味シンシンで見守っていらしたのでした。

 14時00分、ぬいぐるみに入った職員とともに、訓練参加者一同整列し、園長の訓辞がありました──「新人のころ、先輩から『担当動物の死は恥ではない。しかし、逃がすのは恥だ』という言葉を聞きました。しかし、120年をこえる上野動物園の歴史の中で、脱出事故は何度か起こっています。昭和11年(1936年)の三大事件の一つである「クロヒョウ脱出」事件。昭和42年(1967年)、アジアゾウのインディラが壕に落ちて、来園者のいるスペースに逃げ出した事件。あってはならない事態ですが、麻酔銃や無線機器、毒ヘビ用血清などの点検を実施し、連絡情報網や他機関との連携などを再確認するためにも重要な訓練です。こうした訓練が現実に役に立ってしまうことが “ない” よう、来園者のみなさんや都民の方に園内の安全を誓って、訓練を終了します」。

 ゴリラの着ぐるみに入っていたのは、両生爬虫類館2年目の新人職員。冬とはいえ、中は熱くて大変だったようです。ゴリラの気持ちがわかった、とか。来園者の方々をはじめ、各方面からのご協力ありがとうございました。

写真上から
・ヘンな生きものに興奮するシロテテナガザル(右)
・包囲網により園内を誘導されるゴリラ
・麻酔銃を打たれて倒れたゴリラと反応を調べる獣医
・捕獲網でゴリラを包む
・脱出した毒ヘビ!(その操作方法は……クリックして拡大してください)

(2006年2月21日)



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