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クロマグロ等のこれまでの病理検査状況について
 └─葛西  2015/03/03

 葛西臨海水族園の展示水槽「大洋の航海者:マグロ」では、2014年12月から2015年1月にかけて、展示中のクロマグロ、スマ、ハガツオの死亡が続いた結果、展示しているのは、クロマグロ2尾となっています(2015年3月3日現在)。

 ・ニュース「クロマグロ等の展示数の減少について(続報)」

 3つの外部研究機関に病理検査を依頼し、継続して死亡原因の調査を続けているところです。現状では、原因の究明には至っておりませんが、これまでの外部研究機関の検査状況をお知らせします。

外部研究機関での病理検査状況について

 疾病などの疑いのある死亡個体から28個体(クロマグロ:16検体、スマ:6検体、ハガツオ:6検体)を抽出し、外部研究機関(日本大学、水産総合研究センター、東京海洋大学)へ病理検査を依頼し、これまでの検査によって以下の状況を確認しました。引き続き、外部研究機関において病理検査と解析を進めてまいります。

○日本大学
  3検体(クロマグロ:2検体、スマ:1検体)

ウイルス
こちらのニュースでもお知らせしたとおり、3検体すべての脾臓からウイルスが検出された。
その後、マダイイリドウイルスや、ウイルス性神経壊死症を発症するウイルスではないことが判明した。ウイルスの特定について検査継続中。
細菌類
検出されなかった。
寄生体
致死的な症状をもたらす寄生体は検出されなかった。


○独立行政法人水産総合研究センター
  18検体(クロマグロ:11検体、スマ:2検体、ハガツオ:5検体)

ウイルス
マダイイリドウイルスは検出されなかった。現在、他のウイルスの有無について検査継続中。
細菌類
検出されなかった。
寄生体
検出されなかった。
その他
クロマグロ、スマ、ハガツオ3種のいずれからも肝臓などの組織に病変が見られた。

  ※2月25日に死亡したクロマグロについて、検査依頼をしている。


○東京海洋大学
  7検体(クロマグロ:3検体、スマ:3検体、ハガツオ:1検体)

ウイルス
マダイイリドウイルスや、ウイルス性神経壊死症を発症するウイルスは検出されなかった。現在、他のウイルスの有無について検査継続中。
細菌類
検出されなかった。
寄生体
検出されなかった。


※マダイイリドウイルス
 養殖場でマダイのみならず多くの海産養殖魚に被害を及ぼしています。感染した魚は運動が不活発となり、極度の貧血症状,鰓の点状出血および脾臓の肥大を呈します。イリドウイルス科に属し、red sea bream iridovirus(RSIV)と命名されています。

※ウイルス性神経壊死症
 海産魚の種苗生産の現場で、現在最も恐れられているウイルス病のひとつです。感染した魚は遊泳異常を示し、くるくると回転して泳ぐようになり、ほとんどの場合死んでしまいます。原因はノダウイルス科ベータノダウイルス属に分類されるウイルスです。



クロマグロ(2014年12月1日撮影)

(2015年03月03日)


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