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脅かさないでね、ヒトヅラハリセンボン
 └─葛西  2014/12/12

 みなさんはハリセンボンという名前の魚をご存知ですか? 愛嬌のある顔、頭でっかちな体型、たくさんのトゲを逆立ててプクーッと丸く膨らんだときの姿がおなじみのフグのなかまです。

 「東京の海」エリアの「小笠原(礁)」水槽では、ハリセンボンの一種である「ヒトヅラハリセンボン」を展示しています。


ヒトヅラハリセンボン


 さて、ハリセンボンというと、先に述べたように膨らむ姿が印象的なため、ときどき来園者の方から「脅かしたら膨らみますか?」と尋ねられることがあります。残念ながら、水槽にいるヒトヅラハリセンボンを脅かしても微動だにしないか、あるいは膨らまずに水槽の奥へ逃げてしまうでしょう。ハリセンボンが膨らむのは、身の危険を感じ、さらに逃げられないと判断した瞬間に、敵を驚かせるため、敵に飲み込まれないようにするためなどと考えられています。

 膨らむ瞬間を私が目撃したのは、これまで2回きり。飼育係に網で捕まえられるときと、他の魚が誤ってハリセンボンをかじってしまったときだけです。膨らむのには相応の理由があり、かなりのストレスが伴っていると思われます。水槽のヒトヅラハリセンボンは脅かさずにじっくり観察してみましょう。


尾びれの方向にたたまれたトゲ


 「小笠原(礁)」水槽では、ほっそりとした体型のヒトヅラハリセンボンを見ることが出来ます。膨らんでいない状態のヒトヅラハリセンボンのトゲは身体に沿うように寝た状態です。このトゲは鱗が変形したもので、身体の表面を観察するとどのトゲも尾鰭の方向に向かってきれいに畳まれているようすがわかります。危険を感じずリラックスした状態のヒトヅラハリセンボンをどうぞご覧ください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 三浦絵美〕

(2014年12月12日)


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