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島が変われば姿も変わる、モリバッタ5亜種の展示
 └─多摩  2014/11/07

 多摩動物公園昆虫園では、昨年(2013年)から日本のモリバッタ全5亜種を展示しています。一度に5亜種すべてを見ることができる施設は、おそらく世界でここだけでしょう。

 モリバッタは日本では南西諸島に生息するバッタで、名前が示すように森や林縁にすんでいます。生息する島ごとに姿が少しずつ異なり、島の名前をとってアマミモリバッタ、オキナワモリバッタ、イシガキモリバッタ、イリオモテモリバッタ、ヨナグニモリバッタの5亜種に分けられています(亜種とは、種をさらに細かく分けた分類上のグループです)。

アマミモリバッタ
オキナワモリバッタ
イシガキモリバッタ
イリオモテモリバッタ
(スネアカ型)
イリオモテモリバッタ
(スネアオ型)
ヨナグニモリバッタ

(※写真はクリックすると拡大表示されます)

 ただし、最近の分類ではアマミモリバッタとオキナワモリバッタの2亜種が同種にされ、イシガキモリバッタ、イリオモテモリバッタ、ヨナグニモリバッタの3亜種が同種とされています。

 モリバッタの各亜種は、後ろ脚の先端の色や翅の長さなどによって区別することができます。なかなか見わけるのが難しいのですが、イリオモテモリバッタの中には後ろ脚の先端が赤いタイプと青いタイプが存在します(それぞれスネアカ型、スネアオ型と呼ばれます)。

 そう広くない生息域の中で、なぜこんなにもバラエティ豊かなのか、とても興味深いところです。また今後、調査研究が進めば亜種がさらに増える可能性もあるようで、楽しみな反面、飼育係としては細かく分けて対応する必要が生じ、世話が増えてしまうのではと少し複雑です。

 5亜種の中では派手なイリオモテモリバッタが目立ちますが、好みは人それぞれ分かれるのではないでしょうか。個人的には、南西諸島の海のようなブルーの脚をもつイリオモテモリバッタのスネアオ型か、渋さと無骨さを備えたオキナワモリバッタかで迷うところです。

 5亜種を見比べて、あなたも「推しモリバッタ」を見つけてはいかがでしょうか。

写真右上:モリバッタの展示風景

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 田中陽介〕



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