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アイアイ「ニリナ」の旅立ち
 └─上野  2014/07/25

 2014年7月2日、上野動物園のアイアイ「ニリナ」(オス、9歳)をアメリカのサンディエゴ動物園へ搬出し、飼育担当の私もサンディエゴ動物園まで随行しました。

 今回の移動は、上野動物園とサンディエゴ動物園のアイアイの血統更新を目的としておこなわれたものです。

 搬出当日の午前8時に巣箱内で寝ているニリナをそっと捕獲し、輸送箱に収容して出発時間まで静かな環境に置きました。

 午前11時30分に上野動物園を出発し成田国際空港に向かい、17〜25℃に温度管理された飛行機の貨物室にニリナを収容しました。

 飛行機は成田空港を発って9時間30分後にロサンゼルス国際空港に到着。そこで待ち合せていたサンディエゴ動物園のスタッフと一緒に、すぐさまニリナのようすを確認しに行きました。輸送箱の中で動いているニリナの姿を認めたときはほっとしました。

 その後、車で約3時間かけてサンディエゴ動物園に移動し、動物病院の検疫室にニリナを収容しました。ニリナは輸送箱の扉を開けると右手を出し、新しい場所を確かめるようにアイアイ特有の中指で物を叩くタッピング行動をしていました。

 アメリカの動物園で飼育されているアイアイはすべてマダガスカル島の東部降雨林地域に生息していた個体ですが、上野動物園の個体群は西部乾燥林に由来しますので、ニリナはアメリカでは血統的に貴重な存在になります。今後はサンディエゴ動物園でもニリナによる繁殖の取り組みがなされます。アメリカで生活するニリナの健康を祈りつつ、近い将来ニリナの子ども誕生の知らせを待ち望んでいます。

写真:サンディエゴ動物園に旅立ったアイアイ「ニリナ」

〔上野動物園西園飼育展示係 下重法子〕

(2014年07月25日)



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