2014年4月26日にリニューアルオープンした葛西臨海水族園特設展「タッチンフィーリン」は、サメやエイとふれあえる展示とあって、連日多くの来園者からご好評いただいています。
その水槽の中でひときわ目を引く大きなサメが今回の主役、イヌザメです。昨年暮れに都立動物園水族園4園巡回展「たまごのあいうえお」が開催され、その展示に用いたイヌザメの卵を、展示終了後、水族園のバックヤードで飼育し、先月無事に孵化しました。
親と違って白と黒のシマシマ模様は明瞭ですが、姿形はまさしくミニチュアで、手のひらサイズのイヌザメです。
卵もとても特徴的です。一般に「卵生」のサメ類は、孵化までおおよそ6か月〜1年という長い期間が必要です。そのため卵は目立たないよう周囲の環境に溶け込む色合いをしており、ちょっとの衝撃ではびくともしない固い殻に包まれています。
今回、期間限定ではありますが、その卵と生まれたばかりのイヌザメの幼魚をトピック水槽で展示開始しました。卵の展示では内部の様子が観察しやすいよう照明を工夫しています。
ところでみなさんは、なぜ名前が「イヌザメ」なのか不思議に思ったことはないでしょうか? 名前の由来は諸説ありますが、似て非なるものを指す言葉として使われる「いぬ」を付けて、同じ科のテンジクザメに似ているけれども違うサメ「イヌザメ」とした説や、餌を探す姿が地面の匂いを嗅ぎながら歩く犬に似ているからという説などさまざまです。どの説が正しいのかは判然としませんが、たまに見ることがある胸びれと腹びれを使っての歩くような移動の様子はまさに子犬です。そのユーモラスな泳ぎ方もお見逃しなく。
イヌザメの卵や幼魚、成魚を観察した後、タッチンフィーリンで成魚にふれあえば、まさに完璧「イヌザメコンプリート」達成です。それを目指してぜひ水族園にお越しください。
写真上:固い殻に包まれたイヌザメの卵
写真下:縞模様が明瞭な幼魚
〔葛西臨海水族園飼育展示係 増渕和彦〕
(2014年06月13日)
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