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ニシアフリカコガタワニの産卵
 └─上野  2014/06/06

 上野動物園両生爬虫類館(ビバリウム)のニシアフリカコガタワニが2014年5月30日に産卵しました。

 ニシアフリカコガタワニは、上野動物園が積極的に繁殖に取り組む「ズーストック種」に指定されていて、現在6頭飼育しています。

 今回産卵したペアは、以前はほかの個体と複数で同居させていましたが、本来単独性の動物なので、狭い展示槽内では優劣の差が激しく、お互い落ち着かない状態で飼育されていました。その環境を改善する目的で2007年に改修をおこない、相性のよいペアのみを同居させていました。

 その結果、2010年から産卵が始まり、2011年には有精卵が生まれ、1頭が孵化しました。上野動物園では、じつに32年ぶりのことでした。

 その後も毎年5月下旬から6月中旬に産卵しています。2012年、2013年も有精卵が生まれましたが、残念ながら孵化しませんでした。
 
 野生のコガタワニは産卵のために塚を作り、中の地熱を利用して卵を孵す習性があるので、試しに2013年から産床にしてほしい砂地に稲わらを置いたところ、塚を作る行動までは見られませんでしたが、産卵時期が近くなるとわらをさわり始めました。

 そこで2014年も産卵が予想される1か月程前から稲わらを置きました。産卵後はメスが卵を守るためにかなり攻撃的になったので、産卵したことがすぐにわかりました。採卵時に割れてしまったものもありますが、産み出された20個の卵は、保温された室内に置いて人工孵化を試みています。孵化日数は、68日から128日と幅がありますが、無事孵ることを期待しています。

写真上:わらの上のニシアフリカコガタワニ
写真中:採卵のようす
写真下:人工孵化中

〔上野動物園両生は虫類館飼育展示係 多田和美〕

(2014年06月06日)




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