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糸でぐるぐる巻き、チューブスナウト
 └─葛西  2014/06/06

 葛西臨海水族園世界の海エリアの「カナダ沿岸」水槽には、チューブスナウトという全長15センチぐらいの細長い魚が展示されています。チューブスナウトはアラスカからカリフォルニアまでの北アメリカ沿岸に生息する魚で、以前のニュースでもご紹介したことがあります。

「筒状の口、チューブスナウト」

 チューブスナウトは肛門(総排泄腔)から分泌する糸で海藻を束ね、そこに卵を産み付けるという、変わった習性をもっています。

 水槽でも2014年4月初め、海藻が糸でぐるぐる巻きに束ねられているのが確認されました。昨年もチューブスナウトが糸で海藻を束ねていたことは何度かありましたが、卵を産むまでには至りませんでした。今回はどうかな?と思っていると、ある日の朝、この糸が巻かれた海藻に数十粒の小さな卵が産み付けられていました。

 とても立派な巣とは言えない、不器用に巻かれた海藻に産みつけられた卵は、白く透明でキラキラと輝いて見えました。日が経つにつれ、卵の発生が進み、目ができてくると黒くなり、およそ2週間で孵化しました。

 このチューブスナウトの習性は夏ごろまで見られます。ちょうど6月初めに前回と同じ場所の海藻を糸でぐるぐる巻きにし、同じように卵を産み付けていました。水槽奥の水面に近いところで、観覧側からは少し見えにくい場所ですが、「カナダ沿岸」水槽を見るときは、チューブスナウトの糸と卵を注意深く探してみてください。そしてあと1週間ほどで卵は孵化してしまいますので、見たい方はお早めにどうぞ!

写真上:細長い体のチューブスナウト
写真下:チューブスナウトが束ねた海藻と卵

〔葛西臨海水族園飼育展示係 小味亮介〕

(2014年06月06日)



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