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ヤギ舎2題──新登場2頭とオスの「マメタ」
 └─多摩  2014/05/23

ヤギが来た


 2014年4月17日、多摩動物公園ヤギ舎に上野動物園からメス「ラン」と「ツキ」の2頭がやってきました。2頭とも2010年上野動物園生まれで今年の誕生日で4歳になります。

 多摩動物公園と上野動物園ではトカラヤギという小型のヤギを飼育しています。多摩では以前からこげ茶色の毛色をしたトカラヤギを飼ってきましたが、最近になって上野動物園から白黒の毛色のオスを借りて繁殖したので、こげ茶のほか薄い黄土色や白黒の毛色をしたヤギたちも徐々に増えてきています。

 今回、上野動物園からやってきた2頭は、白っぽい毛色で顔の白い毛の部分の違いで見分けることができます。

 4月23日、検疫が明けたランとツキをヤギ舎に移動しました。これから2頭のヤギには試練が待っています。もともといたヤギたちは、新しく来た個体に対して角で攻撃してきます。とくに餌の時間は、餌に近づくだけで追い払いに来ます。思っていたとおり、2頭のヤギは、最強のメス「ヒメ」を中心とした群れから激しく攻撃されました。しかしこれに飼育係が手を出すことはできません。ヤギ同士で徐々に慣れていってもらうしかありません。

 ランとツキの関係も、最初は寄り添っていたのが、一緒に餌を食べているときにランがツキを追い払うことがあり、近頃は2頭バラバラで休むこともあります。まだしばらくはハラハラする日々が続きそうです。

オスの「マメタ」の成長


 多摩動物公園ヤギ舎には、当園生まれで今年2歳になる「マメタ」という去勢オスがいます。

 マメタが生まれて半年後に母ヤギが死んでしまいました。すでに離乳していましたが、生後6か月の子ヤギには母親が必要です。マメタは、子どもを亡くした「デコ」というメスのそばにいることが多くなりました。母親と子どもそれぞれを亡くした者同士で何か通じるものがあったのかもしれません。

 しかしデコはメスの中では地位が低いからなのか、その後マメタは「スズラン」という年嵩の強いメスと一緒にいることが多くなりました。マメタは自分の身を守るために強いスズランを選んだのか、スズランに時々追い払われることがあっても、しばらく一緒に餌を食べたりしていました。ところが12歳という高齢のスズランは昨年末に死亡し、マメタはまたひとりになってしまいました。

 そろそろ2歳の独り立ちの時期を迎えたマメタは、最近「ジョウ」という4歳の去勢オスと一緒に餌を食べたりするようになりました。じつはジョウはマメタの2歳上の兄に当たります。大人になったヤギは、血縁で繋がることはあまりないと思うのですが、マメタはその場その場を賢く生きているようです。

 ヤギたちをのんびり観察してみてください。ヤギ同士の意外な関係が見えてくるかもしれません。

写真上:新登場のトカラヤギ「ラン」(左)と「ツキ」(右)
写真下:去勢オスの「マメタ」(左)と「ジョウ」(右)

〔多摩動物公園南園飼育展示係 土屋泉〕

(2014年05月23日)



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