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なぞの多い魚、コンビクトブレニー
 └─葛西  2014/05/02

 葛西臨海水族園東京の海エリアの「トピック水槽」にコンビクトブレニーを展示しました。この魚は、パプアニューギニアやソロモン諸島などの暖かく浅い海に生息しています。

 コンビクトブレニーの生態にはなぞが多く、自然下で成魚が何を食べ、どのように繁殖するのかわかっていません。しかし近年、興味深い行動が観察されました。成魚はサンゴ礁の海底に巣穴を作り、一年もの間、稚魚と一緒にくらします。これほど長い期間を親子が同居するのは、魚ではとても珍しいことです。

 稚魚たちは日中、餌となるプランクトンを食べるため巣穴を離れますが、成魚が巣穴を離れて餌を探すようすは確認されていません。夕方になると餌を食べた稚魚たちが巣穴に帰ってきます。そして深夜、巣穴の中では成魚が稚魚たちを口に含んで吐き出すという行動が見られました。

 この行動から、稚魚が餌を運んでいる、もしくは稚魚の排泄物を食べているのではと推測されています。ちなみに、水族園で飼育している個体には、サクラエビなどを与えています。

 残念ながら展示水槽に稚魚はいませんが、成魚が水槽の底にある砂を掘って巣穴を作ろうとしているようすは観察できます。しかし、あまり立派な巣穴を作られてしまうと、せっかくの姿をみなさんに見ていただくことができません。水槽に入れる砂の量や岩の配置を調節して、ほどほどの深さの巣穴になるよう工夫しています。それでも、思いがけないところに巣穴を作って姿を隠してしまうこともあり、「今度はこんなところに掘ったのか!」と驚かされます。みなさんもこの面白い魚をぜひ見に来てください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 堀田桃子〕

(2014年05月02日)



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