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続・新たな視点で見てみると(48)珍妙な容姿──バットスターの幼生
 └─葛西  2014/04/18

 無脊椎動物の幼生には、親からは想像もつかないような容姿をしているものが多くいます。新たな視点シリーズでも、イセエビやピコロコの幼生などを紹介してきました。
「水中の美麗な怪物?──イセエビの幼生」(2010年07月09日)
「大きなフジツボの小さい赤ちゃん──ピコロコの幼生」(2010年08月06日)

 今回お見せするのはヒトデのなかま「バットスター」の幼生です。バットスターはアラスカからカリフォルニア湾にかけての東部太平洋に分布していて、葛西臨海水族園では「深海の生物5」水槽で展示しています。

 先日、このバットスターを一時的に水槽から取り出す必要があって、新しい海水を満たした容器に5匹を移しました。すると、この海水が刺激になったのか、一斉に放卵・放精が始まり、あっという間に容器の中の海水は卵と精子で濁ってしまいました。この卵が孵化して育つかを確かめるために、卵の一部を小さな容器に回収してようすを見ることにしました。

 今回の動画は、この放卵・放精から19日後のビピンナリア幼生、24日後のブラキオラリア幼生、39日後の稚ヒトデのようすをお伝えします。

【バットスター幼生の動画】
Windows Media形式 QuickTime形式  

 ヒトデというと星形に延びた5本の腕を想像するかと思いますが、幼生は星型とはかけ離れた不思議な形をしています。表現が難しいですが、胴体だけのロボットというか、見る方向によっては犬のように見えたり、恐竜のように見えたり……。とにかくとても面白い形をして水中を泳いでいます。受精から31日後には着底して稚ヒトデになっていることが確認できたので、どこまで大きくすることができるか、裏の水槽で育成中です。

写真上:バットスター成体
写真中:ビピンナリア幼生
写真下:ブラキオラリア幼生

〔葛西臨海水族園飼育展示係 三森亮介〕

(2014年04月18日)



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