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アジアゾウの夜の過ごし方
 └─多摩  2014/03/21

 多摩動物公園では、アヌーラ(オス、61歳)、アマラ(メス、9歳)、ヴィドゥラ(オス、6歳)の3頭のアジアゾウを飼育しています。

 基本的には、飼育係は仕事を終えると夕方帰宅し、夜はゾウたちだけで過ごしています。夜間のゾウのようすはビデオで録画し、翌日にチェックしています。アヌーラはアマラ、ヴィドゥラと一緒にすることができないため常に1頭で過ごしていますが、アマラとヴィドゥラは24時間一緒にいます。

 ゾウたちの睡眠時間は一晩で3〜6時間で、1〜2時間の睡眠を数回繰り返します。寝る姿勢は完全に横になる横臥姿勢と立った状態でまどろむ姿勢の2種類があります。まどろみは横臥するよりも眠りが浅く、ウトウトしている状態です。また横臥姿勢は左右交互に行うことが多いのですが、ゾウは寝返りができないため、左右を変えるときは一度立ち上がり向きを変えます。

 2012年11月にスリランカから来園したアマラとヴィドゥラは、小さいときから一緒にいたため大変仲がよく、そのようすは昼間の行動からも観察できますが、夜の行動を見ているとより明確です。夕方獣舎に入った後、2頭はまず採食を始めます。しばらく餌を食べた後まずアマラが横になって寝始めます。するとそれまで餌を食べていたヴィドゥラは寝ているアマラを守るかのように傍に立ち、時にはアマラに覆いかぶさるように立ってまどろみます。

 1〜2時間ほどしてアマラが起きてまた餌を食べ始めると、ヴィドゥラも一緒に食べ始めます。一通り食べ終えると今度は2頭で鼻を絡ませたり、押しあったりしてじゃれあって遊びます。一通り遊ぶと今度はヴィドゥラが横になって寝始め、するとアマラがヴィドゥラの傍に行き、守るように立ってまどろみを始めます。

 1頭が寝ていると、もう1頭は傍に立って寝ているゾウを気遣い、また2頭が同時に寝る場合も「川の字」ならぬ「二の字」になって寄り添うように寝ています。このような姿を見ていると、ゾウが社会性の強い動物であるということが実感できます。

 ちなみにアヌーラは1頭でいる期間が長いためか、2頭が隣の部屋でどんなに騒ごうと、まったく動じることなくマイペースで採食したり、休息したりしています。

写真上:放飼場で採食中のヴィドゥラ(左)とアマラ
写真下:モニター画面に写る2頭の寝姿

〔多摩動物公園南園飼育展示係 藤本卓也〕

(2014年03月21日)




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