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珍しい深海生物第2弾「ベニテグリ」
 └─葛西  2014/02/21

 2014年2月21日から葛西臨海水族園東京の海エリアの「トピック」水槽に珍しい深海生物第2弾としてベニテグリを展示しました。

「珍しい深海生物、アカツノチュウコシオリエビ」(2014年02月07日)

 ベニテグリは南日本の太平洋岸から南シナ海、東シナ海の水深150〜250メートルの砂泥底に生息する深海魚で、「手繰り網で採れる紅い魚」という意味の名前がつけられています。手繰り網とは底曳き網の古い呼び方のことで、ベニテグリの体はその名のとおり、鮮やかな紅色(赤色)をしています。

 水槽の中のように光がよく届く浅い場所ではベニテグリの赤い色は目立ちますが、じつは深海では目立たなくなります。太陽光のうち赤い光は海面からわずか数メートルの深さで海水に吸収されてしまい深海まで届かないからです。吸収された赤い光は熱エネルギーとなって海水面の温度を上昇させます。また、海藻や植物プランクトンの光合成などに使われる緑色なども海水面付近でほとんどが吸収され、ベニテグリが生息する水深200メートル付近の深海にはわずかに青い光が届いています。しかし、その光も人の目では感知するのが難しいほどかすかな光です。

 今回のトピック水槽では、そんな深海の世界を見ることができるよう水槽の横に「深海めがね」を用意しました。レンズの部分に青いフィルターが貼られていて青い光しか通さないようになっています。このめがねを通して見たときの赤いベニテグリはどんな色に見えるでしょうか? ぜひみなさんの目で実際に確かめてみてください。

 なお、深海生物には飼育が困難な種が多く、展示を変更する場合がありますので、あらかじめご了承ください。

写真上:鮮やかな赤色のベニテグリ
写真下:深海の世界が見られる「深海めがね」

〔葛西臨海水族園飼育展示係 小味亮介〕

(2014年02月21日)



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