冬まっただ中ですが、葛西臨海水族園で今がホットなものといえばそれは、「深海生物」です。水族園の「Visit ほっとZoo 2014」キャンペーンでは深海生物コーナーが「ほっとポイント」のひとつになっています。
太陽の光がほとんど届かず、水温も低く、さらに高い水圧がかかる特殊な環境の深海には、浅い海にすむ生き物とは似ても似つかない奇妙な形をしているものがたくさんいます。
2014年1月上旬と下旬の2回、駿河湾でおこなわれている深海底引き網漁の船に乗り、深海生物を採集してきました。
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1回目は天候が悪く、漁師さんが事前に漁で採った深海生物を持ち帰りましたが、2回目は無事出漁できました。
深海底引き網漁により船上に上がってくる生物の中には、水族園の深海コーナーでは長く展示するのが難しい生物もいます。そこで2014年2月6日(木)から4月8日(火)までの期間限定で、東京の海エリアの「トピック」水槽で展示しています。
まずは水深180〜800メートルに生息するアカツノチュウコシオリエビです。漢字では「赤角中腰折海老」と書きます。これは赤い角をもった中くらいのコシオリエビという意味だと思われます。名前のとおり、頭にある三本の角のうち、真ん中の一本が赤くなっています。
コシオリエビのなかまは海の浅い場所にもいますが、ほとんどが頭の甲の大きさが1センチ以下の小さいものです。しかし、深海にいるコシオリエビのなかまは大きく、このアカツノチュウコシオリエビも頭の甲の大きさが3センチほどあります。すでに深海コーナーで展示しているオオコシオリエビの頭の甲は4センチほどになるので、それよりも小さい、やはり中くらいの大きさの種類ということになります。
エビという名前が付いていて、細長いザリガニのようなハサミももっていますが、じつはコシオリエビはヤドカリのなかまです。その証拠に、カニや大きなハサミをもつエビのなかまは歩くための足(歩脚)が8本ですが、ヤドカリのなかまの歩脚は6本しかありません。
今後も珍しい深海生物を採集次第、随時ご紹介していきます。深海生物を生きたまま見られるまたとないチャンスです。ぜひお見逃しのないよう!
※深海生物は飼育が困難なため、展示を急に変更する場合があります。あらかじめご了承ください。
写真上:船上での選別作業
写真下:アカツノチュウコシオリエビ
〔葛西臨海水族園飼育展示係 小味亮介〕
(2014年02月07日)