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トンボの幼虫「ヤゴ」の展示
 └─多摩  2014/01/31

 多摩動物公園昆虫生態園の右ウィングで「ヤゴ」の展示を始めました。展示したヤゴは、ホタルを再導入した水路に生息しているオニヤンマとクロスジギンヤンマです。

 ヤゴは、体の形も水中でのくらしぶりも種類によってさまざまです。今回は展示している2種を中心にヤゴの特徴をご紹介します。

 オニヤンマのヤゴは、クロスジギンヤンマよりも目が小さく、全身に毛が生えていて水底の砂や泥の中に潜ってくらしています。

 クロスジギンヤンマは、円筒状の体型で毛は生えていません。水草や木の棒などにつかまってくらしています。

 ヤゴは、伸縮する下唇をもっていて餌が近づくとこの下唇で捕食しますが、オニヤンマが餌の近づいてくるのを待っているだけなのにくらべ、クロスジギンヤンマは目が大きいせいか、少し遠くの餌にもよく反応し、近づいていって捕食します。

 また、手で捕まえようとすると、鋭く尖ったお尻の先をサソリのようにしならせて刺してきます。刺されると少し血が出るほどで、痛みを伴います。 

 ヤンマ類のヤゴは、肛門から直腸内に水を取り入れたり吐き出したりすることで、直腸内の鰓を使って水中の酸素を取り入れ呼吸をしています。危険を察知すると、吸い込んだ水を肛門から勢いよく噴射して前進しますが、驚かせたときなど私の体に水がかかるほどの噴射力です。

 古くトンボは「秋津」と呼ばれ、日本の国土には秋津島という異名がありました。それくらいトンボがたくさんいたということだと思います。トンボは近年、川や池の環境の急変により減少していますが、昆虫園でぜひ、トンボの水中のくらしぶりを観察してみてください。

写真上:オニヤンマのヤゴ
写真下:クロスジギンヤンマのヤゴ

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 杉田務〕

(2014年01月31日)



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