葛西臨海水族園では今年(2013年)、1羽のイワトビペンギンが誕生しました。
孵化したのは5月23日、ひなの生まれたときの体重は88グラムでした。親が与える餌を食べて、約1か月後には体重約1500グラムとなり、見た目には親鳥とほとんど変わらない大きさになりました。
これくらいの時期になると、ひなは巣から出て歩き始めます。ひなが出歩くようになると、親以外のイワトビペンギンも時折ひなの羽繕いをし始めました。何かとひなを構いたくてしょうがないようです。
孵化後約2か月で、ひなの柔らかい綿羽は水をはじく正羽に生え変わりました。
この時期になると、飼育担当者は餌を食べるためのトレーニングを開始します。水族園では、イワトビペンギンに餌を与える際に地面に魚を置きますが、学習させないと、ペンギンは陸上の魚を見ても餌だと認識しないため、トレーニング期間が必要になります。
トレーニングの初期は、毎回ひなを捕まえるのですが、捕まったひなは噛み付いてきたり、翼でたたいてきたりと大暴れし、飼育担当者は手に傷を負い、痛い思いをすることになります。
しかし、今年生まれたイワトビペンギンのひなは、人が触れたり、捕まえたりしてもまったく攻撃してきません。とても大人しく、人に対する許容範囲が広い性格のようです。また、このような性格が影響してか、これまで育てたひなたちと比べ、スムーズに餌の食べ方を学習してくれました。
今年生まれのひなは、現在展示場で元気に過ごしています。目印は1羽だけいる、頭の黄色い飾り羽が目立たないイワトビペンギンです。ぜひ探してみてください。
写真上:孵化直後のイワトビペンギンのひな
写真中:おとなたちに構われているひな(右から2羽目)2013年6月29日撮影
写真下:頭の黄色い飾り羽がまだ目立たない。2013年12月6日撮影
〔葛西臨海水族園飼育展示係 古橋保志〕
(2013年12月13日)
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