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ホウボウの餌探し
 └─葛西  2013/12/06

 葛西臨海水族園東京の海エリアの「東京湾の漁業」水槽に、新しくホウボウが加わりました。

 ホウボウは北海道南部以南の砂泥底に生息している魚です。大きな胸びれの内側は濃い青緑色の上に鮮やかな青色の模様が入っています。とても印象的な色合いの胸びれで、ホウボウはこのひれを大きく広げることで威嚇をします。

 水槽のホウボウを観察していると、胸びれの横に左右3本ずつ合計6本ある細長いスジのようなものを使って、砂をほじくり返している姿をときどき目にします。

 このスジは軟条という胸びれの一部が分かれたもので、感覚器官の役割をもっています。ホウボウはこの軟条を使って砂の中の小さな甲殻類やゴカイなどの小動物を探して食べるという、変わった餌の探し方をします。どうやら、水槽のホウボウも餌を探している最中のようです。軟条の動きを見てみると、ひれの一部とは思えないほど小刻みによく動いています。砂の中に餌がないと分かると、ホウボウは軟条を脚のように動かして少し前進し、再び餌を探し始めます。軟条は移動するときにも役立つようです。ちなみに、急いで移動したいときには、軟条を体に沿ってたたみ、尾びれをすばやく動かして泳ぎます。

 ホウボウを含め「東京湾の漁業」水槽にいるのはどれも東京湾で捕れる食用の魚ばかりです。12月から4月がホウボウの美味しくなる季節のため、これからのシーズンは、鮮魚売り場で見かけることも増えるかと思います。旬なホウボウの不思議な餌探しのようすを、この機会に観察してみてください。

写真上:青い胸びれが印象的なホウボウ
写真下:胸びれの一部が分かれた軟条

〔葛西臨海水族園飼育展示係 三浦絵美〕

(2013年12月06日)



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