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カリブ海のエンゼルフィッシュ
 └─上野  2013/11/15

 葛西臨海水族園世界の海エリアの「カリブ海」水槽に先日、フレンチエンゼルフィッシュとグレイエンゼルフィッシュの小さな個体を展示しました。以前からいる大きな個体と比べると、大きさが違うだけでなく、もようも少し違います。

 フレンチエンゼルフィッシュの成魚は黒っぽい体色で、眼の周りや鱗の縁が黄色くなっています。グレイエンゼルフィッシュはその名の通り、全体的に灰色っぽい体色です。

 ところが幼魚のころは、2種とも黒い体に黄色い縞もようで、全然違う種類の魚のような姿をしています。今回展示した小さなエンゼルフィッシュたちは、成魚と幼魚の中間期にあたり、ほぼ成魚のもように幼魚の名残の縞もようが入っています。

 遠くカリブ海にすむフレンチエンゼルフィッシュだけでなく、日本近海にすむサザナミヤッコなどキンチャクダイ科の魚は、成魚と幼魚でもようが全然違うことで知られています。もようが違うことで、幼魚は「まだ繁殖に参加できませんよ、大人のケンカに巻き込まないでね」とアピールしていると考えられていますが、はっきりした理由はよくわかっていません。

 今回水槽に展示した小さなエンゼルフィッシュたちは全部で7尾です。初めは水槽に慣れていないのか、みなで固まっていましたが、今ではそれぞれが気ままにニセのサンゴの間を泳いでいます。たまに成魚に追いかけられているのは、もようが大人に近づいているからだろうかと考えてしまいます。大人になるのは人も魚も大変なんですね。

写真上: フレンチエンゼルフィッシュの成魚
写真中上:フレンチエンゼルフィッシュの幼魚
写真中下:グレイエンゼルフィッシュの成魚
写真下: グレイエンゼルフィッシュの幼魚

〔葛西臨海水族園飼育展示係 細谷有莉沙〕

(2013年11月15日)



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