ニュース
幻想的な揺らめき、カブトクラゲの展示
 └─葛西  2013/11/08

 みなさんは、クラゲといったらどんな姿を想像しますか? おそらく、多くの方々は、ミズクラゲやアカクラゲのような傘の真ん中から口腕とよばれる腕のようなものが伸びている姿を思い浮かべることでしょう。

 しかし、葛西臨海水族園「東京の海」エリアで展示しているカブトクラゲは、傘のような姿ではなく、兜のような、または帽子の「チューリップハット」のような形をしています。

 カブトクラゲは、東京湾では比較的よく見られますが、同様によく見られるミズクラゲやアカクラゲとは異なるグループのクラゲです。

 ミズクラゲやアカクラゲは、刺胞とよばれる毒針を用いて餌を捕えます。刺胞をもつ動物は、ほかにイソギンチャクやサンゴなどがおり、これらは「刺胞動物」というグループに属します。

 一方カブトクラゲは「有櫛動物」というグループのクラゲで、刺胞をもたず、膠胞(こうほう)とよばれる粘着性の細胞を用いて餌を捕えます。

 また、泳ぎ方にも特徴があるので、隣の水槽で展示しているアカクラゲと見比べてみましょう。アカクラゲは傘全体を開いたり閉じたりして浮力を生み出し、ふわふわと泳いでいます。

 それに対してカブトクラゲは、体全体を動かしているようすはありません。よく見ると、体には櫛板(くしいた)とよばれる8列のスジがあり、そのスジは細かい繊毛が板状に並んでいて、これをゆらゆらと動かして泳いでいます。 この櫛板の揺らめきに大注目! 揺らめく櫛板が光を反射することで虹のように輝き、その姿はとても幻想的です。

 しかし、残念ながら言葉や写真では、なかなかその美しさをお伝えし切れません。現在、長期間展示ができるように継続的な繁殖にも挑戦中です。ぜひ、水族園に足を運び、揺らめく輝きをその眼に焼きつけてください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 齋藤祐輔〕

(2013年11月08日)



ページトップへ