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ノーザンフェザーダスターワームってどんな生き物?
 └─葛西  2013/10/04

 葛西臨海水族園では世界の海エリアの「カナダ沿岸」水槽にノーザンフェザーダスターワームという生き物を展示しています。「フェザーダスター」とは掃除のときに使う羽根ハタキのことですが、いったいどのような生き物でしょうか?

 水槽をのぞくと、にょきにょきと長い管のようなものが何本もくっついてかたまりをつくっているのが見えます。そしてその先端には、赤紫色のまさしく羽根ハタキのようなものが付いています。これがノーザンフェザーダスターワームです。

 管のように見える部分は「棲管」(せいかん)と呼ばれるもので、この中にノーザンフェザーダスターワームの本体がいます。棲管はノーザンフェザーダスターワーム自身の分泌物から作り出されているもので、プラスチックのストローのような形をしています。貝殻のように固くはないですが、革のような質感で、引っ張ってもちぎれないくらい頑丈です。

 本体は節がいくつも入った太いミミズのような形をしています。頭に羽根ハタキ様のものがついていて、日本にもケヤリムシというなかまがいます。これらは多毛類と呼ばれ、ほかには釣りの餌として有名なゴカイなども含まれます。棲管の先の羽根ハタキ部分は、「鰓冠」(さいかん)と呼ばれます。ここで餌を捕らえたり、呼吸をしたりしています。さらにここには光を感じ取る「眼点」(がんてん)がたくさんあり、敵の影に反応して危険を察知すると、一瞬の早業で棲管の中に隠れ、そうすることで自分の身を守っています。この早業は同じ水槽にいるシャイナーサーフパーチがノーザンフェザーダスターワームの鰓冠を突っついたときなどに観察できます。

 水槽では十本ぐらいの棲管が集まっており、水流が良く当たる場所に置いています。自然の海では何百本もの棲管が集まって大きな「群体」(ぐんたい)を作って生活しています。

 ノーザンフェザーダスターワームの早業をぜひ見に来てください。

・東京ズーネット関連記事(2001年12月)
 「エントツの中身はムシ!? ノーザンフェザーダスターワームの展示

写真上:ノーザンフェザーダスターワームの群体
写真下:棲管から出ている鰓冠

〔葛西臨海水族園飼育展示係 小味亮介〕

(2013年10月04日)



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