井の頭自然文化園「リスの小径」は、ニホンリスのさまざまな行動を真近で観察できる施設ですが、じつはくらしているのはリスだけではありません。
ときどきお客さんから「リスの小径なのに、鳥がいる!」「カメが歩いている!」などと驚かれますが、キタヤマドリ、コジュケイ、アカハラなどの野鳥や、ニホンイシガメ、アズマヒキガエルも小径でくらすなかまたちです。
そんな「リスの小径」に、あたらしくトンボのヤゴたちがなかま入りしました。
さまざまないきものがくらし、来園者のみなさんにも直接触れ合ってもらえる場所として毎週日曜日11時〜12時にオープンしている「いきもの広場」の維持管理作業で、先日池の水を抜き落ち葉や泥をさらったところ、約100匹のヤゴが捕獲されました。そのときたくさんのヤゴを見て、ひらめきました!
トンボは幼虫時代から肉食で、ボウフラやアカムシ、ミジンコなどを食べて育ちます。毎年夏になると蚊が発生する「リスの小径」のボウフラ対策として、ヤゴに一役買ってもらえるのではないかと思ったのです。
2013年6月20日と29日に、オオシオカラトンボやシオカラトンボをはじめ、捕獲した数種のヤゴすべてを小径内の3つの流れに放しました。さて効果のほどはどうでしょう?これからの活躍に期待しています。
ニホンリスは、野生では木の実だけでなく昆虫やカタツムリなども食べる雑食性の動物なので、羽化中のトンボが捕食されてしまう心配はありますが、この夏、羽化したトンボが飛び交って「リスの小径」が「トンボの小径」になったら面白いな……と、担当飼育係はひそかにもくろんでいます。
写真上:すっかり水の抜けた「いきもの広場」の池
写真中:オオシオカラトンボのヤゴ
写真下:ヤゴを放した「リスの小径」の流れ
〔井の頭自然文化園飼育展示係 高松美香子〕
(2013年07月05日)
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