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ニシローランドゴリラ「ハオコ」グループの変化
 └─上野  2013/06/28

 上野動物園では、2013年4月24日ニシローランドゴリラ「モモコ」(30歳)が第3子を出産しました。今回の出産は、群れのメンバーが見守る中でのことでした。

 2か月が経過し、子どもは順調に成長しており、群れのメンバーも落ち着きを取り戻しつつあります。子どもの父親は「ハオコ」(19歳)です。このハオコグループで最近観察されたことをご紹介します。

 出産直後からずっとモモコのそばで子どもを覗き込んでいたのは、モモコの娘「コモモ」(3歳)でした。気持ちを抑えられなかったのか、3日たったころ、子どもの背後から急に手を出し頭を軽くつかんでモモコに怒られ、飼育係から見ても明らかにいじけてしまいました。それからというものコモモは、トト(メス、35歳)と一緒にいる時間が増え、部屋に戻るのもトトの背中に乗ったまま、夜間もトトの近くで眠ることが多くなりました。
 日中コモモはハオコに追いかけっこやレスリングのような遊びをしてもらう時間が増え、ナナ(メス、31歳)ともよく遊ぶようになりました。

 【ハオコとコモモの動画】
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 もし以前のように母親とともに隔離されていたら、ほかのメンバーと接触したり、気を紛らわせたりすることはできなかったと思います。ほかのメンバーも、コモモの気持ちを察しているかのように優しく接しているのが印象的でした。

 子どもが乳首を吸いたくて「ギィー」と声を上げると、メンバーたちはようすを見に近くに集まってきます。夜間も気にして何度も起きているので、最近どの個体も寝不足気味のようで、日中の昼寝が増えました。
 ここ数日コモモはモモコに少しずつ近づき、人差し指で妹に触らせてもらえるようになってきました。ハオコも出入りの際などには、毎日子どもに触っています。その瞬間に必ず出すハオコのグーという唸り声は、父親としての喜びなのでしょうか?

 現在ハオコグループは、室内への出入りを自由にして、のんびりと過ごせるようにしています。もちろん子どもに無理をさせないためでもありますが、おとなのゴリラたちを疲れさせないための配慮でもあります。とくに群れのリーダーであるシルバーバック「ハオコ」が苛立って群れが不安定にならないように考えてのことです。少し見えづらいかもしれませんが、子どもの成長やゴリラたちの安定のためと思っていただけたら幸いです。

※赤ちゃんの名前は、上野動物園と千葉市動物公園でみなさんから投票をいただいた結果、「モモカ」と決まりました(ニュース

写真:モモコと4月24日生まれの子ども「モモカ」

〔上野動物園東園飼育展示係 木岡真一〕

(2013年06月28日)



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