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コトクラゲを展示しました
 └─葛西  2013/06/21

(2013年07月30日更新)
 展示終了しました。
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 葛西臨海水族園東京の海エリアにある「トピック」水槽では、期間限定でさまざまな生き物を展示しています。今回、深海のユニークな生き物「コトクラゲ」(Lyrocteris imperatoris)を当園で初めて展示しました。このコトクラゲは以前の記事で紹介した独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究航海の際、無人探査機ハイパードルフィンが相模湾の水深約200メートルから採集したものです。採集後、水族園で長期飼育技術の開発や飼育下での観察をおこないました。

「アメケンの深海調査航海リポート、その壱」(2008年06月27日)

 コトクラゲはクシクラゲのなかまで、みなさんが思い浮かべる一般的なクラゲのなかまのミズクラゲなどとは、姿形がずいぶん異なります。一見するとホヤのようにも見えるこの生き物が1896年に初めて発見された当時は、いったいなんの仲間であるかもわかりませんでした。しかしその45年後にクラゲ類の研究をされていた昭和天皇により相模湾で採集され、京都大学の駒井卓博士により記載、命名されました。このことから、学名にラテン語で「皇帝」を意味するimperatoris と献名されたのです。また、和名のコトクラゲは、形が「竪琴」(たてごと)に似ていることから付いたといわれています。

 さて、動きのないようにみえるコトクラゲですが、運がよければ体の先端から糸のようなものが出ているのを見ることができます。いったいなんなのでしょう?

 コトクラゲは岩などに付着して動かないくらしをしているため、この糸のような触手で水中を漂う餌を捕まえ、口に運んで食べるのです。水族園では3日に1回の割合で餌を与えています。棒の先につけたサクラエビを触手に近づけると、細い触手でぐるぐるとまくように捕らえ、体の先端にある口に運ぶのですが、なんとも不思議な光景です。

 水族園にぜひ、見に来てください。期間限定ですのでお早めに〜!

写真上:糸のような触手を延ばすコトクラゲ
写真下:餌に触手を巻きつけて口に運ぶ

〔葛西臨海水族園飼育展示係 雨宮健太郎〕

(2013年06月21日)
(2013年07月30日更新)



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