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カイツブリ、教科書どおりの繁殖
 └─多摩  2013/06/14

 多摩動物公園アジア園のバードケージで展示しているカイツブリのペアが自然繁殖しました。孵化したひなは2羽で、6月に入ってからも順調に育っています。

 繁殖ペアは2009年9月に井の頭自然文化園から移動してきた個体です。井の頭では2009年6月に繁殖に成功し、そのときの記録が、東京動物園友の会の雑誌「どうぶつと動物園」(2010年夏号)に掲載されました。

 2012年、その記録と井の頭自然文化園での飼育研修をもとに、餌の内容と与え方を変更しました。
 小魚は週2回入荷します。そこで、常に新鮮な魚を与えるために、毎日与えるのではなく、入荷日に合わせて週2回給餌することにしました。1週間の給餌量は今までと同じですが、日によって摂餌量に差が出るので、小魚を与えない日にはコオロギやミールワームを少量与えるようにしました。

 井の頭の記事によると2009年4月から翌年1月まで繁殖行動が続いていたようで、ほぼ周年繁殖期といえます。多摩では、2012年7月と9月に産卵が見られ、繁殖行動に季節性があるようです。井の頭は屋内での飼育展示、多摩では屋外の生活ということが、この違いに影響していると思います。

 野生のカイツブリは、アフリカ、ヨーロッパ、インド、東南アジア、韓国、日本などに分布しています。

 図鑑『HANDBOOK OF THE BIRDS OF THE WORLD』によると、抱卵中に巣を離れるときは卵にフタをしたり、抱卵後期に次の繁殖に向けて産卵したりすることが書かれていますが、同じ行動を飼育下でも観察することができました。

写真上:親鳥の背中の乗ったひな(5月)
写真下:順調に育っている(6月)

〔多摩動物公園南園飼育展示係 由村泰雄〕

(2013年06月14日)



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