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仮設オオコウモリ舎オープン、熱帯鳥温室からの引っ越し
 └─井の頭 2013/05/31

 1962年にオープンした井の頭自然文化園熱帯鳥温室は、50年という長い間みなさんに愛されてきました。まるでジャングルのようにうっそうと生い茂った熱帯植物の中を、さまざまな羽色をした鳥たちが自由に飛び交う展示方法は、開館当時は非常に珍しいものでした。

 その熱帯鳥温室ですが、老朽化が進んだため2013年6月2日をもって閉館することになりました。それにともない、温室にいた動物たちを飼育するための仮の施設「仮設オオコウモリ舎」が、ヤクシカ展示場の隣に5月17日オープンしました。

 仮設オオコウモリ舎には現在、オリイオオコウモリ、オニオオハシ、シロムネオオハシ、カンムリコサイチョウ、オウギバトが展示されています。今後カンムリエボシドリとアオバズクも熱帯鳥温室から順次移動してくる予定です。そのほかの鳥たちは、飼育スペースが手狭なため上野動物園と多摩動物公園に別れて飼育されることになります。

 なぜこの施設が「仮設熱帯鳥温室」ではなく「仮設オオコウモリ舎」なのかと思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 それは「井の頭自然文化園は日本産動物の保全に力を注いでいこう」という考えからきています。
 現在は沖縄に生息するオリイオオコウモリを飼育していますが、ゆくゆくは東京都小笠原諸島にだけ生息する国の天然記念物オガサワラオオコウモリを飼育する可能性も考慮し「仮設オオコウモリ舎」という名称にしています。

 新しい施設へ引っ越した後、最初は戸惑っていた鳥たちも今では慣れたようで、温室から一緒に移動してきた植物の枝から枝へ元気に移動しています。それぞれお気に入りの場所が決まってきたようで、オウギバトは、中央に設置したオオコウモリの餌台の上で、日中休んでいる姿をよく見かけます。オオコウモリたちは新しい同居人にまだ慣れないようで、天窓にぶら下がっていることが多く、正面からは見えづらいかもしれません。そのときはぜひ横にある窓から中を覗いてみてください。器用にぶら下がって寝ているオオコウモリをごらんいただけると思います。

写真上:仮設オオコウモリ舎
写真中:緑の中のオニオオハシ
写真下:天窓にぶら下がるオリイオオコウモリ

〔井の頭自然文化園飼育展示係 久保田夕紀子〕

(2013年05月31日)



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