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ツチガエルが産卵しました
 └─井の頭 2013/03/15

 井の頭自然文化園水生物館で、2013年3月9日、今年もツチガエルが産卵しました。水生物館では、ツチガエルを約50匹展示していますが、2007年以来、毎年展示水槽で繁殖に成功しています。

 野外に生息するツチガエルの産卵時期は5月〜9月とされていますが、水槽内ではここ数年、4月に産卵が始まっています。館内の水槽は外気温の影響を受けにくいので、野外とは少し季節がずれているのでしょう。今年はさらに例年より1か月ほど早い産卵となりました。

 カエルは産卵の時期になると、オスがメスを抱きかかえるように背中に乗る「抱接」(ほうせつ)をします。メスが産卵したらすぐに精子をかけられるよう、オスがメスを「キープしている」状態といえます。ツチガエルの抱接が始まったのは2月17日。その後1〜2組の抱接が見られたり見られなかったりと安定しない中、3月9日ついに産卵しました。最近の暖かさに加え、9日はとくに気温が上昇し、外気温の影響を受けにくい館内も温度が上がったことが産卵の引き金となったのかもしれません。

 卵は直径1ミリほどの大きさで、透明な寒天質に包まれてつながった「卵塊」の状態です。ひとつひとつ卵のようすを見ると、発生が進んでいるものは徐々にオタマジャクシのかたちに変化しています。順調なら、今月中にもオタマジャクシが泳ぐ姿を見ていただけるかもしれません。

 例年通りならば、ツチガエルの抱接と産卵はこの後何回か見られるはずです。水生物館にお越しの際は、ぜひじっくりと観察してみてください。

写真上:抱接するツチガエル
写真下:卵、中央の丸いものはまだ発生していない

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 中沢純一〕

(2013年03月15日)



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