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新登場の常設展示「イボイモリの保全」
 └─上野  2013/03/08

 2013年3月5日から上野動物園両生爬虫類館(ビバリウム)エントランスホールで、新規常設展示「イボイモリの保全」をはじめました。

 イボイモリは沖縄島や奄美大島などに生息する両生類で、沖縄県・鹿児島県指定の天然記念物です。古い時代のイモリの姿をそのまま留めていて、生きている化石と呼ばれています。近いなかまは中国大陸南部にしかおらず、かつて大陸と琉球列島が陸続きであった可能性を示しています。 

 一般的な両生類と異なり、皮膚は乾いてゴツゴツしています。また、肋骨が哺乳類のように弧を描かず背骨から水平に張り出しているので、その先端の膨らみが脇腹にイボのように並んで見えます。これが「イボイモリ」という和名の由来です。

 野生での詳しい生態や生息数の実態はまだわかっていません。しかし、外来種のジャワマングースによる捕食が確認されるなど、放ってはおけない状況にいる生き物です。現在では環境省や国際自然保護連合によって、絶滅危惧種に指定されています。

 今回の展示では、上野動物園でのイボイモリの保全活動についてみなさんに知っていただくとともに、イボイモリの生態や体の特徴について学んでいただけたらと思います。

写真上:新展示表示、ゴツゴツしたイボイモリの皮膚
写真中:脇腹に並ぶイボのような膨らみ
写真下:レントゲン写真、肋骨の先端に合わせて凸凹状

〔上野動物園両生は虫類館飼育展示係 大渕希郷〕

(2013年03月08日)



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