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ボディランゲージでおしゃべり、コウイカの展示
 └─葛西  2013/03/08

 葛西臨海水族園東京の海エリアの「東京湾にもいるこんな生物」水槽では、東京湾にすむイカやタコのなかまを展示していますが、2013年2月13日からコウイカの展示を始めました。

 展示しているコウイカは5個体で、入れたばかりのときは海底にじっとしていることが多かったのですが、最近は少しずつ環境に慣れ、体色を変えながら、お互いにコミュニケーションを取るようすも見られるようになりました。

 コウイカの「表情」でわかりやすいものは、まさに顔色にあたる体色の変化です。ふだんコウイカは、底面の砂に似た薄茶色をしていますが、一瞬にして色が変わることがあります。この体色の変化は、表皮の下にある「色素胞」という細胞の作用によるものです。いくつかの色をもつそれぞれの色素胞の大きさが変化し、色素胞同士が重なり合うなどして、さまざまな色調を作り出します。

 コウイカの体色のバリエーションはとても豊富です。
 よく見られるのは、背面全体の色が濃くなり、細かいよこ縞模様が現れるパターンで、ほかの個体に近寄ったり近寄られたりするときに多く見られます。
 また、背面の左右に目玉のような丸い斑紋が出るパターンもありますが、一瞬出てすぐに消えてしまうことが多いようです。
 ほかには、縦に半分だけ色が濃いときや、横に太く濃い帯が出ることもあります。
 このような体色の変化は、繁殖の際にオスがメスを誘うディスプレイとして使われることがあるともいわれていますが、模様にどのような意味があるのか正確にはわかりません。

 コウイカは、体色変化のほかに腕を使ったコミュニケーションらしき行動も見られます。上側中央の2本の腕を相手に向けてゆっくりと高く持ち上げたり、腕全体を横に大きく広げたりしているようすが観察されます。
 コウイカは、体全体を使った豊かな表現で多様なおしゃべりをしているのかもしれません。

写真上:右下の個体が近づいたため、左上個体の体色が濃くなる
写真中:(左)縦半分に体色が違う(右)左右に斑紋が出ている
写真下:餌を捕らえた瞬間にまだら模様が出現

〔葛西臨海水族園飼育展示係 高濱由美子〕

(2013年03月08日)



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