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動かない虫、ツノロウムシ
 └─多摩  2013/02/01

 多摩動物公園昆虫園のふれあいコーナーで、2012年9月に動物園内で採集したツノロウムシを展示しています。カメムシ目のカイガラムシのなかまです。

 ツノロウムシは大きさが1センチにも満たない丸くて白いかたまりのような外見をしていて、植物の枝に密着して汁を吸います。多くの種類の植物につくので、目にした方も多いのではないでしょうか。

 展示するにあたり、ラベルにロウを取り除いた姿の写真を載せるため、1匹からロウを取り除いてみました。枝からツノロウムシをはがした際に裏面、つまり通常は脚が生えている側を見てみると、脚がありません。成長の途中で脚は退化してしまうのです。

 いよいよロウをはがしてみます。まるごとポロっとはがせるかと思ったのですが、意外に軟らかくて、紙で拭きとるようにしてロウを取り除いていきました。現れたツノロウムシの本体は、赤い色をしており、丸みを帯びた突起が生えていて金平糖に似ています。

 脚が退化しているので動くことはなく、厚いロウをかぶっていると生き物に見えないですが、ロウを取り除いてもやはり虫っぽく見えないツノロウムシでした。

写真上:枝についたツノロウムシ
写真中:腹側
写真下:ロウを取り除いたところ

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 石島明美〕

(2013年02月01日)



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