井の頭自然文化園で2009年から不定期に開催している静かな人気コーナーの「冬越しする生きものたち」の展示を始めました。場所は、夏にアオダイショウを展示していた正門先のミニ展示ケースです。
カブトムシやゴマダラチョウの幼虫、クロスジギンヤンマのヤゴ、殻の入り口に膜を張って越冬するミスジマイマイ、イネ科の草の株などにもぐり込み成虫で越冬するクビキリギスなど、園内で採集した生きもの約15種を集めました。
種ごとにさまざまな姿で冬越ししているようすを、ミニ黒板風の札にチョークで書いた情報とともに展示しています。
今回初めて展示するのは、イラガの繭です。サナギで越冬するイラガは、興味深いことに、まるで小鳥の卵のようなひとつひとつ模様の異なる硬い繭をつくります。成虫が出た後の繭はその形状から「スズメノショウベンタゴ」(雀の小便担桶)と呼ばれています。小便担桶とは、肥料用の糞便を入れて担ぐ桶のことだそうですが、昔の人の豊かな想像力には感嘆してしまいます。カキやウメなどを食草とするイラガの幼虫は毒針毛をもつ危険な存在ですが、サナギと成虫には毒はないので怖がらないでください。
これらの生きものたちは、園内のさまざまな場所でくらしていますが、とくに密度高く見られるのが「いきもの広場」です。冬越しの生きもの展示コーナーを見たら、次は私たちといっしょに、広場で実際に生きもの探しをしませんか? 夏のにぎやかさとはひと味違った、寒い冬をじっと過ごす生きものたちのたくましい姿に出会うことができます。
「いきもの広場で遊ぼう」12月〜3月は第2・3・5日曜日11時〜正午
写真上:イラガの繭
写真中:成虫が出た後のイラガの繭
写真下:展示ケース内の情報
〔井の頭自然文化園教育普及係 高松美香子〕
(2013年01月18日)
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