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トモエガモのオスが増えました
 └─井の頭 2012/12/07

 2012年11月30日、井の頭自然文化園水生物園カモ舎のトモエガモ室に2羽のオスが加わりました。この2羽は11月14日に福山市立動物園からブリーディングローン(繁殖を目的とした借り受け)で搬入された個体です。動物病院での検疫が終了して、晴れて展示デビューしました。

 トモエガモはシベリア東部で繁殖し、日本など東アジアで越冬します。マガモより小さくコガモより大きい中型のカモで、オスの冬羽では、「ほお」のあたりに巴(ともえ)のような形の緑色の模様があります。かつては大群で飛来したようですが、近年はとくに太平洋側で飛来数が減少しているようで、環境省のレッドリストでは絶滅危惧II類(VU)となっています。東京都でもズーストック種として、動物園内での繁殖に力を入れる種に指定しており、井の頭自然文化園が飼育下繁殖に取り組んでいます。

 井の頭自然文化園では、トモエガモの繁殖にとくに力を入れてきました。今年の繁殖シーズンには、1ペアから2羽のひなを孵化させることができ、2004年以来の繁殖成功かと期待されましたが、残念ながら1週間ほどで死亡しました。

 この経験から、繁殖させるためには種々の課題が考えられましたが、まず産卵数をある程度確保することが必要だと考えました。今までトモエガモの飼育数はオス1羽とメス6羽で1ペアしか形成できないため、オスの個体を福山市立動物園にお願いして借り受けました。 

 カモ類は、そろそろペアを形成する時期になりました。来シーズンは、3ペアでより多くの卵が得られることを期待しています。今回デビューしたトモエガモのオス2羽は、メスの多いケージに放たれてどぎまぎしたようすでしたが、今では周りの環境にも慣れて緑色の巴マークを誇らしげに見せてくれています。

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 池田正人〕

(2012年12月07日)



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