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インドサイ、足裏のケアの方法
 └─多摩  2012/11/02

 インドサイは、インド北東部からネパールの湿地帯に生息し水辺を好む動物です。柔らかい地質でくらすせいか、足の裏、とくに後肢が非常にデリケートで、動物園のようなかたい地面で飼っていると足の裏を痛めてしまうことが多いようです。

 多摩動物公園でも、足に負担がかからないような飼育方法をいろいろ試みていますが、体が大きく体重の重いオスの「ター」は、やはり足の裏を痛めてしまいました。

 インドサイは、調教を受けたゾウと違って足の裏を見せてじっとしているようなことはできません。ではどのように治療しているかというと、ターの場合、柵の外から体をデッキブラシでこすると気持ち良いのか、お腹を見せて寝転びます。そこで係員が柵の中に入り、とくにこすられるのが好きな場所、つまり皮膚が柔らかいお腹やひだの部分の内側などをブラシでこすり、リラックスさせておとなしくさせます。その後、5分から10分くらいの間、異常に形成されてしまった足裏の肉芽を削ったり、傷の間に入り込んだ小石を取り除いたりします。治療が痛かったり、ブラシマッサージに飽きたりすると立ち上ってしまうので、そこで終了となります。

 ちなみに立ち上がるときは、まずは腹這いになり、次に前足で立ち、最後に後足で立ち上がるという順番で、完全に立ち上がるまで5秒くらいかかるので、その間に係員は柵の隙間から避難するようにしています。

 インドサイも足が痛いとイライラするみたいですが、ケアの後は少しは楽になるようです。

写真上:サイの足の裏、ゆびの付け根付近が角化
写真下:お腹をブラッシング

〔多摩動物公園南園飼育展示係 八坂圭悟〕

(2012年11月02日)



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