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見比べてみよう、東京湾の魚たち
 └─葛西  2012/11/02

 葛西臨海水族園「東京湾の漁業」水槽には、東京湾で漁獲される代表的な魚を展示しています。釣りの対象や食材となる、比較的なじみのある魚です。

 2012年9月、この水槽にシロギスとシログチが新しく加わり、全部で7種になりました。水深が2メートルほどあるため、水槽の上から下まで、魚ごとにいる場所や動きに違いがあることがよくわかります。 

 水槽の上から真ん中あたりを群れて泳いでいるのは、マイワシ、マアジ、コノシロです。常に泳ぎ続けているこれらの魚の形はよく似ています。横から見ると背中とお腹と同じように丸みがあり、細長い葉っぱのような形で、泳ぐときに水の抵抗を少なくするのに役立っています。尾びれの形と泳ぎ方も似ていて、真ん中に切れ込みがある尾びれと体のうしろ半分を左右に振って泳ぎます。

 水槽の底近くにはシロギスとシログチがいます。この2種類の魚はあまり泳ぎ回ることはありません。背中には丸みがありますが、お腹はまっすぐです。海の底でくらす魚ではよく見られる形です。尾びれは切れ込みがないうちわのような形で、一度に大量の水をかくことはできますが、持続は困難です。たとえば、身の危険を感じたときなど一気にダッシュするのに力を発揮します。口は、少し下向きになっていることがわかります。砂の上や砂の中にかくれているカニやエビ、ゴカイのなかまなどを食べるのに都合のいい形です。

 水槽の底にはマアナゴとイシガレイが身を隠しています。細長い体のマアナゴは筒の中に潜り込んでいます。海では日中は砂泥の中や物陰に潜み、夜間に活動するようです。細長い体の背中からうしろには、背びれから尾びれ、尻びれへとひと続きになっています。泳ぐときには細長い体全体をくねらせることで強い力を出し、逆向きにくねらせることでバックもできます。イシガレイは平べったい体で砂に潜り、目だけを砂から出して周囲をうかがい、餌を見つけると瞬時に飛び出し、すぐまた砂に潜ります。尾びれのかたちはダッシュに適したうちわ形をしています。マアナゴのような細長い体だけでなく、平たい体を横たえることも砂に隠れるのには便利なのです。

 この水槽の魚たちは、ふだんスーパーでも見かけますし、食べる機会もあるでしょう。ぜひ水槽を見て、私たちの恵みとなる魚たちの海でのくらしぶりにも注目してください。

写真上:シログチ
写真下:マアジ

〔葛西臨海水族園飼育展示係 金原功〕

(2012年11月02日)



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