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小笠原でユウゼンの生態調査を始めました
 └─葛西  2012/11/02

 ユウゼンは、小笠原諸島や伊豆諸島などで見られる日本固有のチョウチョウウオ科の魚で、小笠原の海を代表する魚のひとつです。

 葛西臨海水族園は、前身である上野動物園水族館の時代から30年以上も、小笠原の父島周辺で採集調査活動をおこなってきました。葛西臨海水族園では開園以来、ユウゼンの展示を続けていますが、野外での生態についてはほとんど何もわかっていません。

 そこで、2012年度からユウゼンの生態調査を、法的な許可と地元の漁協やダイビング関係者などの了承を得て、まずは小笠原の父島のとなりの兄島で始めることにしました。

 調査では、潜水してユウゼンを捕まえ、体長などを記録して標識をつけた後、再び潜って捕まえた場所へすぐに放流します。ユウゼンは2個体が並んで一緒に行動していることが多く、雌雄のペアではないかと考えられています。今回の調査では、ペアでいた2個体を同時に捕まえて標識をつけました。

 2012年10月22日と25日に合計4ペア8個体のユウゼンに標識をつけました。26日の潜水調査では、すべてのペアが元々のパートナーと一緒に行動していることが確認できました。

 今後、継続して標識個体が観察できれば、雌雄のペアの結びつきや行動圏など、さまざまなことがわかってくるのではないかと期待しています。

写真上:標識には番号がついていて個体が識別できる
写真下:標識をつけた翌日、捕獲場所近くで確認されたペア

〔葛西臨海水族園調査係 荒井寛〕

(2012年11月02日)



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