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小さなタマカイの仲間入り
 └─葛西  2012/08/31

 葛西臨海水族園世界の海コーナーの「南シナ海」水槽では、ハタのなかまのタマカイを展示しています。タマカイは英名で「ジャイアントグルーパー」と呼ばれ、ハタ科の中で最も大きくなる種類です。成長すると最大で全長2.7メートル、体重400キログラムにもなり、非常に迫力があります。インド洋や太平洋の暖かい海に広く分布し、サンゴ礁や岩礁域の水深の浅い場所でもダイビング中に見られることがあります。

 水槽の中には現在、2尾のタマカイが入っています。1尾は水族園で20年以上も長生きしているもので、全長1.5メートルくらいあり、「南シナ海」水槽では一番大きな魚で、とても存在感があります。給餌のときには、悠然と水面に近づき、私たちが餌を与えるのを待ち構えています。水族園では、大型の魚にはイカなどを丸ごと与えますが、このタマカイは餌が水の中に入るやいなや、周りに水をはね散らす勢いで食べるため、私たちが水をかぶってしまうことが時々あります。

 もう1尾のタマカイは、少し前に水槽に新しく加えた個体で、全長は70センチくらいです。体色は幼魚から成魚へ変わる途中で、大きなタマカイと比べると黄色味が強く見えます。初めて水槽に入れたばかりのときは、ほかの魚に追われて尾びれが少し傷ついてしまい、水面近くの擬岩のくぼみにとどまって、そこから外へ出て行くことはありませんでした。

 餌を与えても、その場所以外では食べなかったのですが、日が経つにつれて周りの状況にも慣れたようで、次第に行動範囲を拡げていき、今では水槽の中を自由に泳ぎ回るようになりました。食欲も出てきたようで、同じ大きさの魚ならば得意のダッシュで押しのけて、活発に餌を食べるようになりました。

 水槽の中で仲良くくらす、色違いのタマカイたちをごらんください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 笹沼伸一〕

(2012年08月31日)



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