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今年は4羽のトキが育ちました
 └─多摩  2012/07/30

 環境省はトキの保護と繁殖に取り組んでいますが、一部の施設のみで飼育していると、鳥インフルエンザ等の感染症が一挙に広がり、全滅する可能性があります。そこで、飼育場所を分散するために、2007年12月、多摩動物公園は佐渡トキ保護センターからトキ2ペア(名称は「Kペア」と「ADペア」)をあずかって、非公開の施設で飼育を開始しました。

 都立動物園は40年以上にわたって、佐渡トキ保護センターでの飼育繁殖に対して技術協力をおこなってきた実績があります。その経緯もふまえ、野生生物保全センターを擁する多摩動物公園でトキをあずかることになったのです。

 その後、2008年には多摩で孵化に成功。佐渡以外では初めての国内繁殖となりました。2009年以降も繁殖が見られ、一部を佐渡トキ保護センターに移動させてきました。さらに2010年、新たなペアを作るため、佐渡トキ保護センターから1ペア(「Zペア」)とオス1羽が来園。

 今年(2012年)は、来園した3ペア以外に加え、多摩動物公園で生まれた個体どうしによるペアも繁殖に参加し、合計22個の産卵がありました(内訳は、Kペアが9卵、ADペア4卵、Zペア6卵、多摩生まれのペア3卵)。

 22卵のうち、7羽が孵化、そして4羽が無事育ちました。これら4羽を含め、多摩動物公園では現在、13羽を飼育しています(非公開ですのでご覧になることはできません。ご了承ください)。

◎育った4羽の詳細データ

No.1:メス。両親はADペア。2012年3月30日産卵、4月28日孵化。Kペアによる自然育雛。
No.2:オス。両親はADペア。2012年4月8日産卵、5月9日孵化。ADペアによる自然育雛。
No.3:オス。両親はZペア。2012年4月8日産卵、5月9日孵化。ADペアによる自然育雛。
No.4:メス。両親はADペア。2012年4月12日産卵、5月11日孵化。人工育雛。

・産卵はモニターカメラの記録で確認しますが、一部は推定も含みます。
・「自然育雛」とは、孵化後約1週間を人が育て、元の親あるいは別の親に育てさせた場合。「人工育雛」は人が育てました。

◎ペアの詳細データ

Kペア(佐渡トキ保護センター生まれ)
 オスは2001年5月21日、メスは2003年5月9日生まれ

ADペア(佐渡トキ保護センター生まれ)
 オスは2004年7月3日、メスは2001年4月24日生まれ

Zペア(佐渡トキ保護センター生まれ)
 オスは2008年5月24日、メスは2008年4月17日生まれ

「ホ」ペア(多摩動物公園生まれ)
 オスは2009年5月4日、メスは2009年5月12日生まれ

◎日本国内のトキ飼育状況(放鳥個体を除く)
 2012年7月30日現在。かっこ内は2012年生まれの数

 佐渡トキ保護センター   105羽(15羽)
 佐渡トキ野生復帰ステーション46羽(12羽)
 多摩動物公園        13羽(4羽)
 いしかわ動物園       14羽(6羽)
 出雲市トキ分散飼育センター 8羽(4羽)
 長岡市トキ分散飼育センター 13羽(9羽)

・写真は2012年7月7日撮影。両脇がひな。

(2012年07月30日)




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