2012年7月初旬から、上野動物園両生爬虫類館の一番大きな展示室で、新たにヨーロッパヘビトカゲを展示しています。
ヘビのような細長い体で砂の上をするすると進むので、ごらんになった方の多くが「ヘビだー」と言われますが、ヨーロッパヘビトカゲはトカゲのなかまです。よく見ると、ヘビではないトカゲらしい特徴があるので、左隣にいるボールニシキヘビと比べてみてください。
ヘビには、まぶたや耳の穴がありませんが、ヨーロッパヘビトカゲには、多くのトカゲのなかまと同様、眼にまぶたがあり、その後ろには小さな耳の穴があります。これでヘビと見分けることができます。
あしのない、この不思議なトカゲは、動きにもヘビとの違いが見られます。ボールニシキヘビが柔軟に丸くなっているのに対して、ヨーロッパヘビトカゲは体を真っ直ぐにのばした状態でいます。ヘビのようにとぐろを巻くような姿も見られません。また、くねくねと進んでもなめらかではなく、ヘビと比べると体がかたいようです。
さらに、餌の食べ方も違います。特殊な構造のあごをもつヘビは、大きな餌でもそのまま丸飲みにしますが、ヨーロッパヘビトカゲは、餌を飲み込みやすいように大ざっぱに噛みながら、のどの奥へと運んでいます。
細長くてあしがないからヘビ!と思わず、体や動きにあるヘビとは違ったトカゲらしい特徴をぜひじっくり見てください。
写真上:ヨーロッパヘビトカゲ
写真下:まぶた、右側に耳の穴が見える
〔上野動物園両生は虫類館飼育展示係 船藤史〕
(2012年07月27日)
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