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フェアリーペンギンのひなの成長
 └─葛西  2012/07/27

 葛西臨海水族園でフンボルトペンギンの横、仕切りの中で展示している小さなペンギンたちは、多くの方に赤ちゃんペンギンと勘違いされますが、彼らは大人のペンギンです。フェアリーペンギンといい、世界で一番小さい種類のペンギンです。

 現在、フェアリーペンギンの本当の赤ちゃんが成長中です。2012年度、現在までに生まれているひなは2羽です。

 1羽目のひなが生まれたのは2012年5月20日で、体重を量るためにもち上げると弱々しくピーピー鳴く姿が印象的でした。しかし、そんな弱々しい姿もつかの間のことで、フェアリーペンギンの成長はとても早く、孵化25日後には親鳥と同じくらいの大きさになり、体重を量ろうとする飼育担当者の手に噛みついてくるようになりました。

 孵化後48日目には幼綿羽(幼鳥に見られるふわふわの羽毛)から大人の羽毛への換羽が終了し、あっという間に外見上ほとんど成鳥と変らないまでに成長しました。

 2羽目のひなは、別の巣穴で2012年5月28日に孵化しました。1羽目の幼鳥は換羽が終了すると、もう1羽のひながいる巣穴へ潜り込むようになりました。一緒にいると安心するのでしょうか?

 大人のフェアリーペンギンは、ほかの個体が自分の巣穴に入ろうとすると攻撃しますが、この2羽の親は幼鳥が入ってきてもとくに気にしていないようです。外見はほとんど成鳥と変わらない幼鳥をなぜ、すんなり巣に入れてしまうのか不思議ですが……。

 7月15日には、2羽の幼鳥たちがプールで泳いでいる姿を確認しました。このままみなさんにごらんいただきたいのですが、「魚の食べ方トレーニング」をおこなうため、現在は裏側で飼育中です。

 水族園では、フェアリーペンギンに陸上で餌を与えるため、巣立った幼鳥は魚の食べ方を練習する必要があります。ペンギンは学習させないと、陸の上に置かれた魚を見ても、それを餌だと認識してくれないためです。みなさんに姿を見ていただける時期がいつになるか、それは、幼鳥の覚えが良いか悪いか、飼育担当者の教え込み方がうまいかどうかにかかっています。

 ペンギンの幼鳥と飼育係との熱い夏が始まりました。陰ながらご声援をいただければと思います。

写真上:孵化後9日目
写真中:孵化後53日目
写真下:幼鳥(左)5月28日生まれ(右)5月20日生まれ

〔葛西臨海水族園飼育展示係 古橋保志〕

(2012年07月27日)



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