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続・新たな視点で見てみると(41)あこがれのアキタロウ
 └─葛西  2012/07/20

 葛西臨海水族園の「マグロ」大水槽に、100尾ほどのハガツオが仲間入りしたことを、先週お伝えしました。

「ハガツオの搬入」(2012年07月13日)

 このハガツオを採集した鹿児島の定置網には、ほかにもさまざまな魚が入ります。その中でも、今回の採集で自分が期待していたのが、初秋になるとよく捕れることから現地では「秋太郎」と呼ばれているバショウカジキでした。

 バショウカジキは、自分の幼いころからの憧れの魚で、釣ってみたい!そして水中を泳いでいる姿を自分の目で見てみたい!と強く思っていました。しかし、お世話になっている漁師さんの話では、「入りだすのは梅雨が明けてから」とのこと。まだまだ梅雨は明けそうにありません。小さなカジキでもよいから見てみたいと、淡い期待と水中カメラをもって漁船に乗り込みました。

 早朝のまだ薄暗い中、沖にある定置網に着いて作業をしていると、「カジキが入っているぞ!」の声。網に入った生物を、中に潜って観察することは許可されていたので、焦りながらウエットスーツを着て海中に入りました。

【バショウカジキの動画】
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 定置網の中でバショウカジキと一緒に泳いでみて感じたのは、「こいつ、水槽で飼えそうだな」ということ。マグロのなかまよりもユッタリと泳いでいて、網をしっかり認識し、ちゃんと避けることができます。そして重要なのが思ったよりも小回りがきくことです。「輸送さえできれば、マグロよりも飼うのは簡単なんじゃないか?」とさえ思いました。しかし、その輸送が難しいのですが……。何とか課題を克服して、水族園でもぜひ展示したいものです。

※撮影は特別に許可をいただいておこないました。一般の方は定置網に入ることはできません。漁協などに問い合わせをすることは絶対にしないでください。

写真上:大きな背びれがバショウ(バナナのなかま)の葉に似ているバショウカジキ
写真中:網が絞られ興奮して体色が変わる
写真下:市場に水揚げされた、全長約2メートル・重さ25キロ

〔葛西臨海水族園飼育展示係 三森亮介〕

(2012年07月20日)



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