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フクロモモンガの独立か!?
 └─多摩  2012/03/09

 多摩動物公園コアラ館小獣展示コーナーに、フクロモモンガが展示されています。
 2012年初め、展示室内の床の隅にうずくまるフクロモモンガを発見しました。直ちに捕獲して保護しなければと手を出すと、むくっと起き上がり「ガァガァ」奇声上げながら、走って逃げていきました。ケガでも病気でもなさそうなので一安心。
 しかし、翌日も同じ場所に同じようにうずくまるモモンガを発見しました。手を出すとまた逃げていきます。次の日も次の日も同じことの繰り返し!

 コンクリート床にうずくまるモモンガは見るに堪えないので、懐かしい木製リンゴ箱を台に、升形の巣箱と竹筒で急造の巣穴を設置しました。それから数か月がたち、その巣穴はモモンガの安住の場所となりました。

 フクロモモンガは社会性に富み集団でくらす動物です。多摩動物公園では、フクロモモンガの止まり木に吊るした巣箱に21頭がひしめき合い、団子状態になってくらしています。
 文献によるとフクロモモンガは、巣穴に適した樹洞(シェルター)に明確な縄張りはもたず、群れのほかの個体と共有しますが、オスのリーダーはグループのメンバーにマーキングをおこなって、マーキングのない来訪者は激しく排除します。また、若い個体は7〜10か月でグループの縄張りを抜け、空いているエリアで新しいグループを形成する。と書かれています。

 展示室の床にうずくまっていたモモンガは、まだ若い当歳のメスのようです。この子は母親と親離れをして、新たな世界を求めて群れを離れ独立したのでしょうか? それとも群れから弾き出されてしまったのでしょうか? いずれにしても、巣穴に近づくようすはなく、食べるため給餌台に向かう以外は、リンゴ箱の巣箱で生活を送っています。

 このメスがグループを出たオスと一緒になって新しいグループの核になり、今と同じくらいの規模のグループに育つことを願う反面、狭い飼育施設内でグループ同士が縄張り争いをおこすことが心配です。
 あるいは、またしばらくすると親のいるグループに戻って馴染んでいくのかも知れません。今はこの子の成長を見守って行くばかりです。
 カンバレ!チビ姫。

写真上:団子状態でくらすフクロモモンガ
写真下:独立!? 

〔多摩動物公園南園飼育展示係 山川宏治〕

(2012年03月09日)



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