ニュース
ニホンアカガエルで春を先取り
 └─葛西  2012/02/24

 まだまだ寒い日が続いていますが、でも、、少しずつ春は近づいてきています。春の足音といえば、梅の開花、花粉症のはじまり、いやいやその前にもう一つ、ニホンアカガエルの繁殖シーズンがあります。

 葛西臨海水族園水辺の自然エリアの「淡水生物館」のカエルたちは、冬の間活動も鈍くなり餌もほとんど食べません。そのため、動いている姿を見ていただくのは難しい季節ですが、この季節にしか見ることができないのが、ニホンアカガエルの卵です。

 水辺の自然エリアの「池沼」で産卵が確認される年もありますが、今回は展示槽でおこなわれた産卵を紹介します。

 ニホンアカガエルは、平地や丘陵地に生息する赤褐色ないし茶褐色の日本固有のカエルで、本州、四国、九州に分布しています。多くのカエルは初夏が繁殖期ですが、本種は1〜3月が繁殖期で、田んぼの水たまりなどに卵を産みます。

 展示水槽では2011年、2012年に産卵が見られました。2012年は1月末に抱接(メスの背中にオスが乗り、産卵をうながす行動)が確認できました。オスはメスより小さい上、この時期のオスの前肢はより太くなるので、雌雄は容易に判別できます。

 2月7日の朝、展示水槽を見に行くと卵を発見しました。卵の大きさは1.5ミリメートル程度の黒い球形で透明な膜に包まれています。この黒い卵が少しずつ、オタマジャクシの形に変化していきます。展示水槽でも3月ころにはオタマジャクシを見ることができるでしょう。そして、産卵を終えた親ガエルは暖かくなる5月ころまで、春眠します。

 外出するのがおっくうな季節ですが、この時期のみの限定展示ですので、ぜひ水族園に足を運び、春の足音を先取りしてみてはいかがでしょうか?

〔葛西臨海水族園飼育展示係 齋藤祐輔〕

(2012年02月24日)



ページトップへ