井の頭自然文化園の分園では多くの水鳥を展示していますが、ときとして野生の水鳥が、私たちにとって招かれざる客になることがあります。今回ご紹介するのはゴイサギです。
ゴイサギは浅い水辺で魚やカエルなどの餌を採るので、井の頭池の周りでも観察されています。もともと夜行性のため日中はほとんど姿を現わしませんが、夜、餌にありつけなかったのか、朝になると分園のオシドリサンクチュアリーの鉄枠の上から獲物をねらっている姿をたびたび目にします。
このように井の頭池で餌を採ってくれていればよいのですが、現在井の頭池ではカエルはほとんど見られず、魚もモツゴが減り、ブルーギルが増えました。ブルーギルはひれのトゲが硬く、体高があって食べにくいので、ゴイサギはときどき水生物館入口横の水路に来て、私たちが飼育しているウグイやイワナなどの魚を失敬していきます。
2011年10月のある日、午前9時半の開園以降も水路から離れず盛んに餌を探しているので、一部の入園者の方には獲物を狙うゴイサギの姿を見ていただくことができました。
ところで、分園ではこの招かれざる客とは別にオス1羽、メス2羽、合計3羽のゴイサギを展示していますが、このうちオスの1羽は、今春に千葉県で保護されたひなです。ケガのため右翼が少し曲がり、野生復帰が難しいので、9月に千葉県市川市行徳野鳥観察舎の好意により譲っていただいた個体です。翼に難があるといってもケージの中の木に飛び移るのは得意で、最近はいつも左側の木に止まり、外を通るお客さんににらみを利かせています。
写真上:水生物館前の水路で獲物を狙うゴイサギ
写真下:ついにイワナを仕留めたところ
〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 池田正人〕
(2011年11月18日)
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